全体的特徴
太陽が「みずがめ座」にあって、第11ハウスに位置して出生しているホロスコープです。どちらも<友情と仲間意識に篤い太陽>を意味しますが、その根底にあるのは<同志的結合>で、「組織」のために働く太陽ではありません。むしろ、組織として縛ろうとすると反発し、そこから離脱したがります。したがって、捉えようによっては「自分本位」とか、「我が侭」というふうに受け止められかねません。惑星全体の配置はバランスが良く、片寄ってはいませんが、やや纏まりに欠ける点も否めません。
職業と関係が深いMC(南中点)とアスペクトを作っているのは天王星と火星です。特に火星は120度アスペクトでプロスポーツ選手には大変向いていますが、天王星の作用も加わって<突然の変化>が仕事・職場上で表れやすい暗示が見受けられます。
月が第4ハウス内にあって、住居の移動が多くなる生まれの特徴が見られます。ただ同時に「母親」と「故郷」に対する愛着は強い生まれです。アセンダント(上昇点・ASC)の近くに金星があって、本質的には容貌に恵まれ、愛情が豊かで、サービス精神も旺盛なタイプです。又、<美意識>が強く、男性ながら外見やファッションを人一倍重要視します。ただ、金星は主要な惑星とのアスペクトがなく、孤立しているのが気になるところです。人気運には恵まれていても、個人的な愛情関係は繋がりが乏しい星の配置です。
第10ハウス内に木星が位置していて、社会的な地位とか名誉とかには恵まれる生まれです。良い指導者にも恵まれることでしょう。そして、地位・名誉に伴う形での金運・財産も手に入れることが可能です。ところが、太陽は「みずがめ座」の「第11ハウス」にあって、そういう<世俗的な成功>には、あまり価値を見いだせない生まれなのです。自分と感性が似ている<同士>を得て、それらの人々と一緒に、共通の目的意識を持って活動している時にこそ、最高の幸せを感じられる生まれのようです。
今後、どのような形で仕事を展開されているか、定かではありませんが、おそらく<共通の目的意識を持った仲間>が出現して、その中で輝いている姿こそ、彼がもっとも理想とする人生なのに違いありません。
アスペクト
ホロスコープ全体から言えることとして、メジャーアスペクトが比較的少なくて、一般にマイナーアスペクトとして軽視されがちなアスペクトが目立つことです。多分、日本の多くの占星家が分析すれば、アスペクトの乏しいホロスコープとされてしまうことでしょう。けれども、私は昔からマイナーアスペクトを重視してきた研究者であり、このホロスコープの分析でも、それが重要なのだと力説いたします。
特に、このホロスコープで目立つのは150度アスペクトです。
太陽―月、月―海王星、月―ドラゴンヘッド、木星―土星が、それぞれタイトな150度を形成しています。他にも、マイナーアスペクトとしては、金星と天王星の144度、火星と海王星の135度、さらに一般の占星学では採用されない75度アスペクト(ドイツ系の占星学では採用される)が月―火星、ドラゴンヘッド―火星、金星―土星間で出現しています。これらは、このホロスコープの人物が大まかな分析だけでは捉えきれない<複雑な要素>を秘めていることを暗示しています。
ホロスコープ全体で目立つのは、月を頂点とした<二等辺三角形「ヨッド」>で、月―海王星―ドラゴンヘッドで形成されています。感受性が人一倍強く、周りからの影響を受けやすいこと。雰囲気とかムードとかに弱く、理想を追求しやすいこと。ジプシー的な生活感を持ち、常に母親的な女性を必要としていること。最終的には故郷に帰って晩年を過ごす形が一番良いこと―等を物語っているようです。
火星と天王星の180度アスペクトは<暴走し出したら止まらない形>で、事故や怪我に要注意のアスペクトです。また、この両惑星が、第2ハウスと第8ハウスとを繋ぐ形でアスペクトを形作っているので、経済的な面においても、或る種の衝動性は発揮されるものと見受けられます。くれぐれも、競技関連の詐欺的投資話等に乗らぬよう注意すべきです。
注目すべきトランジット度数
これまでの一般的な占星学理論では、ハードアスペクトは「凶兆」として捉えられることが多く、トランジットでそれら惑星を刺激した時には、アンハッピーな出来事が生じる、と云う解説が一般的です。ところが実際にトランジット経過を調べてみると、ハードアスペクトが作られる時に幸運が訪れ、ソフトアスペクトが形成される時に悪い出来事が拡大されるようなケースが少なくありません。そう云った占星学上の常識を覆す典型がこのホロスコープでは散見されているのです。
まず、彼が阪神タイガースに入団してプロ野球人生のスタートが切られた年、すなわち1990~1991年にかけてですが、トランジットの冥王星は「さそり座」17~18度を移動していて、仕事運と関係が深いMCと30度、出生時の天王星とも30度アスペクトです。つまり、ちょうど出生時のMCと天王星に挟まれるような格好で、トランジット冥王星が<職業・立場上の変化>を促していたとこになるのです。彼が実際に1軍で活躍し始めるのは、1992~1993年にかけてですが、それらの年にトランジットの天王星、及び海王星の2星は、ほぼ同じような位置「やぎ座」17~19度を移動していて、出生時のMCや天王星をアスペクトしているのです。しかも、ここでは出生時の火星にもアスペクトしていて、火星―天王星の両方にトランジットの天王星と海王星とが90度アスペクトを投げ掛ける―という奇妙な配置なのです。1994年の5月には劇的なサヨナラ満塁本塁打を放っていますが、トランジットの海王星は出生時の水星と0度で重なり、トランジットの木星は出生時の太陽に対して90度アスペクトです。1997年の7月にはオールスター戦に択ばれながら「帰れコール」を浴びると云う不可思議を体験していますが、この時、トランジットの土星は出生時の火星に0度で重なっています。奇妙なことに1995年5月にプロ野球では珍しい「三重殺」で仕留められた時にはトランジットの木星が出生時の火星に0度で重なっています。
アメリカのメジャーリーグに移籍した年には、トランジットの天王星が「みずがめ座」18度にあって、出生時の天王星に120度アスペクトです。このような時期は一般の方でも「環境が激変しやすい時」ですので、アメリカに住居を移したのは占星学的には無理もないのです。アメリカでリーグ優勝した年はトランジットの冥王星が出生時のMCに0度で重なっています。日ハム入りした2004年は、トランジットの天王星が出生時のアセンダント(上昇点・ASC)に0度で重なり、トランジットの冥王星は出生時の火星と120度アスペクトです。バリ島に本拠地を移した2010~2011年にかけてはトランジットの土星が出生時の土星に対して120度アスペクト、トランジットの冥王星が出生時の月に対して180度アスペクトで<生れ変わり>が示唆されています。