アメリカで「メリークリスマス」という言葉が“控えられつつある”って初めて知った。その理由は“宗教色”が出過ぎているからだそうだ。つまり、これはイエス・キリストの誕生を祝う言葉だから、キリスト教徒固有のメッセージになるから、そうではない人々も多くなってきているアメリカでは「ハッピーホリデー」に切り替えようという動きらしい。もっとも、それを嫌がったのがトランプ大統領で、彼の公約の一つが「メリークリスマス」の“用語復活”だったそうだ。ここで興味深いのは、イスラム教徒や仏教徒だけでなく、ユダヤ教徒にとっても「メリークリスマス」は“禁句”であることだ。われわれ日本人からすると、キリスト教徒も、ユダヤ教徒も、共に『聖書』に基づいた信仰であるのに何故メリークリスマスじゃないの(?)と考えがちである。実は、ユダヤ教というのは“神の子・イエス”を認めていないのだ。だから『聖書』も『旧約聖書』だけで『新約聖書』は用いない。同じくイスラム教も“神の子”を認めていないので、ユダヤ教と同じように“唯一神”のみが信仰対象となる。だから、根っこのところでイスラム教とユダヤ教とは“「神」の概念が同一”なのだが、その「神」と「人間」の“橋渡し”をする“預言者”がそれぞれ異なるのと、どちらも“民族的色彩”が色濃く反映されているので、まったく異なった宗教のような印象を与えている。ところで日本神道の場合も「神」というのは“見えない存在”で、キリスト教のように“偶像崇拝”ではない。それではユダヤ教やイスラム教と同じかというと、これが微妙に異なる。その一番の違いは「神」が“唯一絶対神”ではないことである。ユダヤ教も、イスラム教も、唯一絶対神なので、人間は「神」に対して“従属的な存在”ということになっている。ところが日本の「神」は“八百万の神”で“唯一絶対”という形を取らないので、人間は「神々」と共存し合って生きていく。そこが日本の「神」と、ユダヤやイスラムの「神」との“決定的な違い”なのである。早い話、日本の神は“変幻自在”で“忍者のような存在”だと思えば良い。もう一つ、ユダヤの「神」や、イスラムの「神」は、自らを信仰しない“民族”を徹底的に排除・排撃する。それに対して日本の「神」は、あらゆる“民族”に寛容で排除・排撃したりはしない。穏やかで大人しい神様なのだ。
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