初めて入った居酒屋さんで70年代~80年代の歌謡曲が流れていた。居酒屋の雰囲気の中で聞くと、より以上に“哀愁”が酒のつまりになる。どの歌、どの歌手でも共通しているのは、日本人がもともと備えていた“哀愁”が漂っていて、虚勢を張らずに聴ける、ということである。そう、今の歌には元々“歌詞が判然としない”せいもあるが、曲が残っても、歌詞の方は耳を通り過ぎていく。自分自身の人生を無意識に“重ね合わせる”ことが難しい曲が多い。そこへいくと70年代~80年代の歌謡曲は、別に“聞き耳”を立てていなくても、ごく自然に自分の人生に“重ね合わせられる”歌詞が多い。2000年代以降の歌謡曲の歌詞が、居酒屋さんに向いていないのは“心境描写だけで出来上がっている”からである。人は“心境描写”そのものだけに“自分を重ね合わせる”のは容易ではない。その人が“何”をし、“どういう情景”の中で、“どう感じたか”、それらが合わさって、自分の人生に重ね合わせられていく。つまり“具体的に何をしているか”、“具体的にどういう情景なのか”この二つが絶対に必要なのだ。ところが、2000年代以降の歌謡曲には、この二つを失った内容のものが多い。この二つを失うと、単なる心理描写、心理風景となって、それが“どこから来ているのかがわからない”から、重ね合わせられない。単に“頑張っているんだな”とか、“愛しているんだろうな”とか、第三者的に見守るだけの歌となる。例えば「永遠に…」という歌詞が時々使われる。こういう歌詞は、第三者には何が“永遠”なのか、さっぱりわからない。それが例えば「千切れるほど手を振る あなたの眼を見ていた」と謳われると、いやでもその情景が浮かび「永遠」などという言葉はないのに、本当は“永遠に結ばれることを夢見た”二人だったに違いない、と連想してしまう。それこそ日本人が持っている「言葉なき哀愁」で、酒を飲みながら聴くと、ほろりとさせられてしまうのだ。
オリンピックを「平和の祭典」というふうな表現をしていたのはいつだったろう。いや、今でもだろうか。まさか、もう誰もそんなことは信じない。いろいろな意味で、オリンピックは汚れてしまった 続きを読む
ときどき“ややこしいこと”をする人がいる。そしてそれが妙に注目を集めて、欧米においては“寵児”として人気者になったりするケースも多い。そういう人物の一人が「アヤ・ナカムラ」だ。果た 続きを読む
わたしは動物たちに関して詳しくないのでわからないが、犬は「飼い主」を求める性質を持ち、猫は「飼われた家」を求める性質を持つ、ということは知っている。つまり、どこまでも飼い主を捜し求 続きを読む
国家の“経済運営”に大きな役割を果たすのが中央銀行の「利上げ」と「利下げ」の決断だ。現在、その「利上げ・利下げ」の両方で、日本とアメリカ…それぞれに“決断の時”が訪れようとしている 続きを読む
近年、アスリートたちの“早熟化”が進んでいる。あらゆるスポーツの分野で、幼い頃からの“英才教育”とでもいうか、特別指導が行われていて、それが実を結んで、早くからその能力を存分に発揮 続きを読む
世間の9割方が、今回の米大統領選は「トランプで勝負あった」と見ていたのに、ここにきてバイデン現大統領が「撤退」を表明。現副大統領である「カマラ・ハリス女史を推す‼」と方針転換した、 続きを読む
“時代の変化”はどうしようもなく、やって来る。それは誰しもが経験することで、どの年齢の人たちもが、いずれは感じるようになる。問題は、その変化に“自分を合わせて”生きて行けるかだ。こ 続きを読む
異常気象というのは、時として思いもかけぬ「発見」をもたらす。ブラジル南部を襲ったのは記録的な豪雨だった。それによって多数の地域で洪水とか土砂崩れなどが起こったのだが、それによって視 続きを読む
その名前は確かに父親が日本人であることを物語っていた。ファビオ・トシロウ・キクオ氏(42歳)は、6年間交際した相手であるブルーナ・ビジャリーニさんとの結婚式を無事に終え、翌々日には 続きを読む
第171回目の直木賞が、一穂ミチ氏に決まったという。最初は同人誌でボーイズラブ小説を手掛けていて、それが編集者の眼に止まり、近年、一般小説に転向していった作家らしい。それは良いのだ 続きを読む