“駆け込み需要”という言葉があるが、そういう意味では正に9月30日は消費税値上げ前の「駆け込み需要の日」と言えるだろう。そして、おそらく今日を限りで閉店するデパートは、皮肉にも“押すな押すなの閉店日”となるに違いない。今日を限りに閉店するのは、伊勢丹府中店、伊勢丹相模原店、山交百貨店(甲府市)である。実は、今年に入ってから閉店したデパートには、棒二森屋(函館市)が1月、さとう西舞鶴駅前店が1月、井筒屋コレット(北九州市)が2月、中三(青森市)が4月、ななっく(盛岡市)が6月、大和(高岡市)が8月…とたくさんある。これらを見て分かるように、いずれも大都市のデパートではなく、地方都市のデパートばかりだ。実はここ数年、デパートは大きく二分されている。つまり、売り上げが年々減ってゆくデパートと、逆に徐々に盛り返してきたデパートと、完全に“二つ”に分かれてしまったのだ。どうして分かれてしまったのかというと、都市部のデパートはインバウンド需要があって“高級品”や“ブランド品”の売り上げが伸びて来ているからだ。海外、特に中華系の訪日客は日本のデパートへの信頼度が高い。つまり日本のデパートで購入したブランド品であれば“正真正銘のモノ”という捉え方なのだ。だから、わざわざ日本のデパートで購入する。そういう訪日客の多く集まる都市部のデパートの売り上げは良い。“爆買い”の時期ほどではないが、それでもコンスタントに売り上げを伸ばしている。それに対して地方は訪日客が乏しい。ブランド品の“売り場面積”も小さい。地方都市に暮らす富裕層は、なぜか大都会で買い物をしたがる。結局、どう頑張っても「日本」という国自体、或いは「その街」自体の経済が大きく潤わなければ、デパートでの高額品は売れないように出来ている。こうしてデパートは完全に“二分”してしまった。もっとも中華系の訪日客が減ってしまうと、今の日本の経済では都市部のデパートでも衰退が眼に見えている。だから訪日客が増えている今のうちに、国家としての「日本」の経済を“上向かせる工夫”をしなければ、いずれ日本から“デパートが消えていく”という哀しいことにもなりかねない。数十年経って「日本に行ったらコンビニだらけで、大型商業施設はなかった」という哀しいことにならないよう「カジノ反対」もほどほどにしないと…。
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