世の中には、自分自身が“それ”によって苦しんだことで、“その道”のプロになっていくタイプの人がいる。例えば、自分が“がん”になって苦しんだことで、“がん撲滅”や“がん救済”のプロになっていく人がいる。自分が“イジメ”にあって苦しんだことで、“イジメ救済”の活動を担っていく人がいる。自分が“麻薬常習”で苦しんだことで、“薬中脱出”の館を提供するプロになっていく人もいる。原島さみら氏の場合、“それ”は「摂食障害」だった。その過去を克服して、現在は「摂食障害カウンセラー」となっている。もっとも、カウンセラーといっても、単に“その相談に乗る”とか“励ましを与える”とかのカウンセラーではない。一方で「パーソナルトレーナー」でもある彼女は、悩める女性たちにどうすれば“健康的に美しく痩せられる”か、フィットネスジムにおいて“直接指導”もしているのだ。数日前、健康的スタイルを重視した「ビューティー筋肉祭」の女性部門で見事チャンピオンとなったのが原島さみら氏なのだ。参加者の中でも、長身で肢が長く、肩幅が広く、それでいて“ムキムキではない”女性らしい美しさが際立っていた。つまり、通常の“筋肉コンテスト”に多い、“女性とは思えないような筋肉美”とは明らかに違うのだ。丁度「ミスコン」と「ボディビル美」の“中間”を行くような“健康美”が狙いであるらしい。近年は、どういうものか若い女性たちの間で、フィットネスジムに通う人たちが多くなった。“身体を鍛える”とか“筋肉ムキムキとなる”ことが、男性たちだけでなく、女性たちにも浸透し始めている。昔はアスリートの女性だけが、そういうことに関心を示したが、現在は、むしろ自発的に“趣味”として、“健康法”の一つとして、時に“ストレス発散”の場として“筋肉づくり”に励む女性たちが増えてきた。また、そういう女性たちのカリスマ的存在が、マスコミから脚光を浴びる時代となっている。確かに原島氏のような“身体”は美しいが、何となく私には、この人が何かの拍子に、また“摂食障害”に戻ってしまいそうな“危うさ”を秘めているように視える。たぶん、本人も、どこかでそれを自覚していて、だからこそ誰にもまして“美しい身体”を保たなければならない仕事を択んだに違いない。
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