34年前にドラマ化され、その主演女優の見事な“豹変ぶり”が話題となったのが「ヤヌスの鏡」だ。そのフジ黄金期のドラマが新たな女優・桜井日奈子氏を主演に“再ドラマ化”されるのだが、そのナレーションを34年前に主演を務めた杉浦幸氏が担当するという。元々このドラマは人気漫画をTVドラマ化したもので、古代ローマの神「ヤヌス」が物事の“内”と“外”とを同時に見ることが出来るというところにちなんで命名されている。内容的には優等生の少女が、厳しく育てられ、納戸の中に閉じ込められて、その中で鏡台を見つめている内に“不良少女に変身”してしまうというストーリーだ。誰にでもある「善良」と「邪悪」の内面を、或る種“二重の人格”として捉え、豹変していくところが多くの共感を誘った。「女優」という職業は、本来“自分ではない人物”を演ずる仕事だが、“優等生”と“不良少女”の両極端を一つのドラマの中で演じるのは、或る意味で“職業妙味に尽きる”役どころだとも言えよう。それを女優デビュー作として杉浦幸氏は与えられた。それを見事に演じ切って一気に注目度が上がったのだが、その後の作品に恵まれなかったのか、或いは最初のイメージが強すぎ他の役がかすんでしまうからなのか、その後、今一つ女優として開花していない。けれども、今回、再び“ナレーション”という形で戻って来たということは、いかに多くの人達のイメージとして「ヤヌスの鏡」が彼女に残っているかということでもある。このドラマは私自身の大昔にもつながる。私は会社員時代、日頃は大人しく優秀な社員であったが、時々、上司に対して仕事のことで激しく抗議したり、撤回要求を求めたりした。或る時、同僚社員たちが私のことを「ヤヌスの鏡のようですね」と噂しているのを聴いた。それを聴いた時、私は何故か、顔が赤らむような恥かしさを覚えた。けれども、確かに、周りから見れば、日頃は大人しい私が時として大声で上司を怒鳴っている姿は、そのような豹変ぶりにしか見えなかったのかもしれない。そういえばドラマ「牡丹と薔薇」でも、「ヤヌスの鏡」と同様なテーマを追求している部分があった。あのドラマも潜在意識に語り掛けてくる部分が多かったが、誰でも自分の中に「善良」と「邪悪」な人格が潜んでいることを知らしめてくれるドラマだった。多くの人達は自分自身の中に“そういう部分”があることを知っているので嫌でも引き寄せられ、不思議な共感を呼ぶのだ。
オリンピックを「平和の祭典」というふうな表現をしていたのはいつだったろう。いや、今でもだろうか。まさか、もう誰もそんなことは信じない。いろいろな意味で、オリンピックは汚れてしまった 続きを読む
ときどき“ややこしいこと”をする人がいる。そしてそれが妙に注目を集めて、欧米においては“寵児”として人気者になったりするケースも多い。そういう人物の一人が「アヤ・ナカムラ」だ。果た 続きを読む
わたしは動物たちに関して詳しくないのでわからないが、犬は「飼い主」を求める性質を持ち、猫は「飼われた家」を求める性質を持つ、ということは知っている。つまり、どこまでも飼い主を捜し求 続きを読む
国家の“経済運営”に大きな役割を果たすのが中央銀行の「利上げ」と「利下げ」の決断だ。現在、その「利上げ・利下げ」の両方で、日本とアメリカ…それぞれに“決断の時”が訪れようとしている 続きを読む
近年、アスリートたちの“早熟化”が進んでいる。あらゆるスポーツの分野で、幼い頃からの“英才教育”とでもいうか、特別指導が行われていて、それが実を結んで、早くからその能力を存分に発揮 続きを読む
世間の9割方が、今回の米大統領選は「トランプで勝負あった」と見ていたのに、ここにきてバイデン現大統領が「撤退」を表明。現副大統領である「カマラ・ハリス女史を推す‼」と方針転換した、 続きを読む
“時代の変化”はどうしようもなく、やって来る。それは誰しもが経験することで、どの年齢の人たちもが、いずれは感じるようになる。問題は、その変化に“自分を合わせて”生きて行けるかだ。こ 続きを読む
異常気象というのは、時として思いもかけぬ「発見」をもたらす。ブラジル南部を襲ったのは記録的な豪雨だった。それによって多数の地域で洪水とか土砂崩れなどが起こったのだが、それによって視 続きを読む
その名前は確かに父親が日本人であることを物語っていた。ファビオ・トシロウ・キクオ氏(42歳)は、6年間交際した相手であるブルーナ・ビジャリーニさんとの結婚式を無事に終え、翌々日には 続きを読む
第171回目の直木賞が、一穂ミチ氏に決まったという。最初は同人誌でボーイズラブ小説を手掛けていて、それが編集者の眼に止まり、近年、一般小説に転向していった作家らしい。それは良いのだ 続きを読む