そういうことだったのか……と、後から気付く出来事がある。例えば「失敗した」かのように報道されながら、実は「成功している」出来事もある。昨日、冒険家・三浦雄一郎氏の“挑戦動画”が帰国後、初めて公開された。そこには、奇妙な事実の映像があった。三浦氏が南米最高峰アコンカグアの登頂に成功し、その頂上からスキーで見事滑降する姿が映し出されていたのだ。ん? 違うって、ではちゃんと見て確かめていただきたい。もちろん、登頂に成功したのは三浦雄一郎氏ではない。その次男の三浦豪太氏である。けれども彼だって冒険家なのだ。そして彼は見事に登頂に成功した。さらに見事にスキーで頂上から滑降した。その姿が映像では公開されているのだ。三浦雄一郎氏本人は、途中でドクターストップが掛かり、登頂を断念している。けれども彼が日本に戻った時、決して「敗残者」の姿ではなく、意気軒高と「次の目標は90歳でエベレストだ」と吠えていた。だから誰も“今回の失敗”を追及できなかった。そうなのだ。彼の一番のすばらしさは、失敗しても全然めげないことだ。すぐに“次の目標”を掲げる。だから誰も、今回の失敗を咎められない。むしろ、そこに“恐れを知らない若者の姿”を感じてしまうのだ。そう、若者だって大抵は失敗すると、少しビビる。ところがこの人は全然めげない。これこそが“本当の若さ”なのだ。二十代や三十代の人達が、一度や二度の失敗で立ち直れなくなるのとは大違いである。“若さ”というのは“失敗”が許されることなのだ。そして再び“挑戦できる”ことなのだ。何度も失敗し、大恥をかいても、すぐ未来に向かって立ち上がる人は“若い”のだ。失敗しても、誰からも非難を受けない。非難されても聞き流していれば良い。多くの人は、失敗してしょぼくれてしまうから、世間は“無謀な挑戦”と非難するのだ。若者には“未来がある”。死ぬまで“未来”だけを向いて歩んでいく人は、死ぬまで“若いまま”で居られる。偉大なる冒険家・三浦雄一郎氏は、成功する姿を見せたいのではなく、失敗してもめげずに“次の目標”に向かう姿を見せたいのだ。
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