一時期「想定外」という言葉が流行った。あれは主に仕事面で使用されるケースが多かったのだが、われわれの人生そのものも「想定外」の軌道をたどっていくケースが多い。おそらく子供の頃に考えていたような、つまり「想定」していたような人生を“そのまま歩んでいる”人は滅多にいないに違いない。「運命」という言葉は、誰もが“思い描いた人生”になっていない証として存在しているような気がする。仮に、人生の大要は“想定通り”であったとしても、その途中でさまざまな「想定外」の出来事が生じてくるから、人生として“味わい深い”ものになる。もし、何もかもが“想定通り”であれば、これほど“つまらない人生”はない。よく推理小説などで、少し読んだだけで、なんとなく“その後の展開”がつかめてしまう作品があるが、その後に何の感動もない。神様は良くしたもので“そういう人生”を決して作らない。必ず、予期せぬ出来事“想定外の場面”を用意してわれわれを待っている。近年、ロボットが“接客してくれるホテル”が出現し始めているが、ロボットとかコンピュータは「想定外」に弱い。一応、さまざまな“想定される問題”を組み込んでおくはずだが、われわれの日常は“理屈でばかり動いていない”不可解さがある。会話にしても“想定外の反応”を示すケースが多い。だから、ロボットとの“やり取り”は所詮つまらないものとなる。人生もまったく同じで“想定通り”の人生に人は納得しない。人が「占い」に求めるのは“想定外の人生”がそこにあると信じたいからである。但し、それは必ずしも本人が望むような“想定外”ではないケースも多い。中には最初から自分の“理想とする人生”を期待する人などもいるが、神様が渡してくれる“人生ドラマ”の脚本は、そんなに単純ではなく、格好良くもなく、たいていの場合“いぶし銀のような名優”を育む「運命」をそっと差し出す。
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