近年の日本の夏は“東南アジア地域の気候”に接近している。一気に気温が上昇しやすく、急激な豪雨に襲われやすい。先週一週間の間に“熱中症”で救急搬送された人は2847人で、昨年の5倍強の数字だそうだ。われわれは“熱中症での死者”というと、どうしても屋外での死亡を考えがちだが、実際には屋内での死者が9割を超えている。しかも驚くべきことに、そのうちの6割以上がエアコンがないところに居たか、エアコンがあっても使用していなかったか、どちらかだそうだ。最近の西日本や関東は35度以上も珍しくない。アメリカやインドの52度とか、51度とかに比べるとまだまだ“低温?”だが、日本人は元々皮膚が弱く、肌理が細かく、色白なので、猛暑・酷暑への抵抗力が弱い。われわれが東南アジアの熱い地域、バンコクとか、マニラとか、クアラルンプールなどの都会に行って感じるのは、屋外と室内との気温差の激しいことである。ちょっと冷房を利かせ過ぎではないか、と思うような場所が多い。つまり普通の日本人は、蒸し暑さにも弱いが冷房にも弱い。過度な冷房を長時間浴びると、それだけで体調がおかしくなる。そういう体質なので、一気に気温が上昇するとか、一気に湿度が上がると、身体がそれに対応できないのだ。東日本大震災以降、日本では「節電」が強く叫ばれ、特にお年寄りたちは“それに共鳴”した。震災の地域の人たちは大変なのだから、せめて自分たちも“節電くらいはしなければ…”という意識を“戦前派の人々”が強く持った。それは、もちろん“貴重な心掛け”ではあるのだが、それが行き過ぎると、どんなに暑くても“エアコンは使わない”という過剰な痩せ我慢に変わってしまう。“熱中症での死者”には、そういうケースが多いのだ。近年の日本は、昔の日本列島と同じ気候ではない。西日本や関東の夏は“東南アジア”と同様なのだ。そう思って“暑さ”と“豪雨”に対処した方が良い。
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