北朝鮮では4月15日、約3時間にわたって金日成誕生105周年を祝う“軍事パレード”が行われた。配信された動画によって、その映像を見たが、一言でいえば“偉大なる統制力”を感じさせる内容で、その“ヤラセ感”が何とも素晴らしい。まさに“軍事国家”であり、恐怖政治の集大成だが、そういうことを差し引いても、この統制力だけは“見事”の一語に尽きる。もちろん、これは何よりもアメリカのトランプ氏に向けての軍事アピールで、丁度、恋する乙女が好きな男の子に向けてオシャレに着飾ってみせるのと同様な心理が働いていることは間違いがない。とは言うものの、実際にアメリカ大陸に向けての各種大陸間弾道ミサイルが着々と整えられつつあることも事実なのだ。受けて立つアメリカも、北朝鮮に対して着々と準備を進めている。その第一弾は、北朝鮮そのものに対してではなく、シリアに対して、或いはIS(イスラム国)に対しての“見せしめ攻撃”だ。つまり、両国とも“一触即発のにらみ合い”状態と言えるだろう。それにしても、かつて“経済危機”が叫ばれ、国民の大多数が瀕死の状態にあるといわれた北朝鮮だが、今回の軍事パレードを見る限り、そのような雰囲気はみじんもない。少なくとも、表面上の北朝鮮は“軍事大国”としての統制力を見事なまでに見せつけている。それが可能なのは、情報統制をかけているからで、外部(西側諸国)からの情報を遮断しているので“政府の指令”が隅々までいきわたるのだ。もっとも、それがいつまで続くかは疑問でしかない。一方のトランプ氏は、思うように政権内のかじ取りが進んでいない。こと“統制力”という点にかけては、完全に金正恩氏に後れを取っている。何しろ、これまでの事業では“ワンマン経営”で許されたことが、大統領という立場では許されない。多くの場合、議会の承認が必要なのだ。だから選挙中の話を、そのままの形で実行できない。極端なことを言うと、北朝鮮などかまっていられない状況なのだ。こうして“ハンバーガーを食べながらの直接対決”は、残念ながら、すぐ実現しそうにない。
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