彼が破竹の勢いだったころの《余の辞書に「不可能」という文字は無い》という有名なセリフ。或いはギザの大ピラミッドの前で《4000年の歴史が君たちを見ている》と士気を鼓舞した話。世界に名をとどろかせた歴史上の人物の中でも、イメージとして“カッコいい”印象を残しているのがナポレオン・ボナパルトだ。そのフランス皇帝ナポレオンが妻のジョゼフィーヌに当てて書いたとされる“手紙三通”が今月4日競売に掛けられ、合わせて約6400万円で落札されたらしい。そのうちの一通は1796年のイタリア遠征の時に書いたものらしいが《愛しい君から手紙が来ない(中略)夫のことを忘れてしまうぐらい、さぞ夢中になれることがあるんだろう》などと記されている。う~ん、この手紙の中身はわれわれの知っているナポレオンのイメージとは違う。寂しがり屋で嫉妬深いのか…。少し拗ねているような…。私信だから仕方がないが“ひ弱なナポレオン”の印象はぬぐえない。日本の歴史上の武将たちとも大いに違っている。まあ、でもギャップがあって、その方が“人間的”と見ることも出来る。そうでも思わないと何千万もの価値はない。昔、ナポレオンの手の“実物をかたどった彫像”写真を見たことがある。その「手」で一番印象的だったのは“人差し指の長いこと”で中指と同じくらいに長かった。人差し指というのは文字通り、人に対して命令・指図する時に用いる指で、プライドの高い人たちは例外なく長い。例えばデヴィ婦人なども人差し指は長い。だから、そういう意味ではナポレオンの人差し指が長いのは理にかなっている。ただナポレオンというと、どうしても革命武将的な印象が強いが、学術的にも優れていたらしく、エジプト遠征には100名以上の学者たちを従え、エジプト全土で遺跡調査を決行させている。そして、その学術成果を『ナポレオンのエジプト誌』として刊行させている。私はその翻訳書を持っているが、今はもう失われてしまった貴重なレリーフなどが、精密図解で残されている。だから、彼は良く言えば、とても人間味にあふれた芸術や学術にも精通していた革命児であり、悪く言えば、傲慢で鼻持ちならないプライドの権化であったに違いない。
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