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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


「地味な世界」に光を当てた「舟を編む」が金賞


ヨーロッパ最大規模の映像コンペティションとして知られるドイツの国際映画祭で、日本から出品されたNHKドラマ「舟を編む~私、辞書つくります~」が見事“金賞”を射止めた。原作は三浦しをん氏の同名小説で、今回のドラマでは女優の池田エライザ氏が主演している。この原作小説は2012年に本屋大賞を得ている作品で、もう13年も経っている。その翌年に映画化もされるなど日本でも評価の高い作品だが、海外で、それも欧州で“国際的な価値ある賞”を受賞した意義は大きい。これは本来、日本の辞書の編纂に取り組む人物たちに照準を当てた作品で、日本語の持っている“意味”や“解釈”と格闘している人たちの話だ。つまり、元々地味な領域だし、世間的にそれほど評価される仕事でもない。しかも「日本語」は欧州の人たちにとっては“異世界”なはずで、その意味と格闘するなどといっても、奇妙にしか映らないような印象を憶える。もちろん、近年はアメリカで「将軍」が大ヒットしたように、日本のアニメガ作品が世界的に注目されているように、Jポップが再ブームを生み出しているように、日本の“文化”や“言語”そのものにも一部の欧米人たちから注目が集まりつつある。さらに主演した池田エライザ氏には、その人自身に“不可思議な魅力”がある。さまざまな要因が重なっての“金賞”とは思うが、なによりも“辞書を創り出す人々”をドラマ仕立てにした原作者の力量は大きい。原作出版から13年も経って、改めて脚光を浴びたことが素晴らしい。小説やTVドラマは、一時的にブームを創り出すものはときどきあるが、そのブームが過ぎてしまうと、跡形もなく「忘れ去られてしまう」ものが多い。そういう中で、こういう地味な作品でありながら、何度も“光が当てられたこと”自体が素晴らしい。近年、若い人たちの間で“最先端なもの”に向かう人たちと、それとは逆に“古典的なもの”或いは“微かに生き永らえてきたもの”に向かう人たちの…両方の人たちが出てきている印象を持つ。しかもその二つが決して拒絶し合うのでもなく、しずかな分水嶺で共存し合っている。じっくりと見渡せば、令和の時代とは、そういう時代なのかもしれない。
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