海外ニュースは「米朝会談」一色である。もちろん、手はず通りにうまくいく。まあ、トランプ氏が最初に言っていた内容とはだいぶ違うのだが、とにかく米朝は“激しく抱き合う”のだ。実際には、まだ行われてはいないが、もう9割方予定通りの手はずで進むので何の問題もない。問題はその後なのだ。「日本ともきちんと話し合う」と約束した金正恩氏を、日本側はどう受け止め、どう対応していくかだ。当然、安倍総理の方も乗り気なのだから、もう「日朝会談」は決まったようなものである。問題は、いつ、どこで行うかだ。安倍総理の性質から言って、なるべく早く行おうとするだろう。ただ日程はどうにでもなるが、場所の決定は難しい。今回の「米朝会談」が上手くいったのはシンガポールが全面的に協力してくれたからである。かつて小泉純一郎首相時代に平壌に出向いて行って、拉致被害者5人の帰還に成功したが、現在の北朝鮮は「拉致は解決済み」という主張に切り替わっている。したがって、真実はどうあれ北朝鮮の国民は全体的には“そういう捉え方”になっている。ここが難しいのだ。日本国民にとっては“未解決”でも、北朝鮮国内では一応“解決済み”としている問題を、扱おうとした場合に本国内で行うのは極めて不利である。どこの国民でも、自分の国のトップが“国民を騙して来た”とは思いたくないだろう。北朝鮮国民も納得する方法でなら、残りの拉致被害者たちを日本に戻すこともやぶさかではない。そういう意味で、金正恩氏が応じそうなのは、まずは“日本に招待する”形式で「日朝会談」を行うことだ。そして、その場合に“拉致問題”のみで話し合うというのでは、北朝鮮側にとっては格好がつかないので、“友好条約の締結”という風な格好のつくテーマも盛り込むことである。そうすれば、間違いなく金正恩氏は応じる。自国民向けにそう吹聴できるからだ。そのうえで拉致被害者の返還を要求すれば、少なくとも、それが可能な被害者に関しては変換してくると思われる。但し“一度に全員”というような無理な要求をしないことである。“段階的に徐々に…”という形の方が応じやすいことだろう。交渉事は、友好的に行った方が結果的に得るものが大きい。対決姿勢では一人も戻らない。
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