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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


「生と死」を見つめた作家の佐々涼子氏が逝く


正直、この作家のことを深くは知らない。何となくざっとは知っているのだが、その程度だ。だから、もしかすると、わたしに“彼女のことを書く資格”はないかもしれない。それでも「グリオーマ」という希少癌である“悪性の脳腫瘍”に侵され2年間の闘病生活ののち56歳で亡くなった……と知って書いておきたいと思った。この作家は「エンジェルフライト」という作品で「開高健ノンフィクション賞」を受賞して世間に注目された。この作品はドラマ化もされた。エンジェルフライトとは「国際霊柩送還」という意味で、主に海外で亡くなった人を日本に輸送してくる仕事だ。ただ単に輸送するのではなく、通常の葬儀のように“死化粧”というものを施して、極力、生前の形を保って帰還してくる。そういう仕事があること自体、あまり広くは知られていない。そういうところに視点を当てて、そういう人たちの職場に泊まり込み取材を続けて描き上げたのが「エンジェルフライト」らしい。この作家は常にそういう感じで、世間的にはあまり知られていないけれども重要な“仕事師たち”をとことん追求して実録的に描く。そういう仕事をしてきた。「エンド・オブ・ライフ」では“訪問看護師”と“在宅医療専門の診療所”を取り上げた。一つには彼女自身の母親が、重い神経難病を患っていた…ということも背景としてあるからかもしれない。人は身近に在ることは追及しやすいからだ。基本的に在宅医療専門の診療所というのは、最終的に「みとり」を終えるまでが仕事で、そういう意味では国際霊柩送還とも、どこか繋がっている。そうやって、ずっと「生と死」に直結するような現場を取材し続けて来た作家に異変が起きたのは2022年の秋だ。自らにも悪性の脳腫瘍が見つかって闘病生活が始まる。ただ彼女は自分が罹った癌が「グリオーマ」という“希少がん”であることになぜか満足していた。日本語教師からフリーのライターを経て、やっと見つけた自らのライフワークともいうべき「生と死」を描くノンフィクション作家という地位を確立した。その矢先の闘病は“無念”であったはずなのに、それを感じさせるSNS発信は、少なくとも私の知った範囲では感じられない。或る意味では、その覚悟を見出すため「生と死」を書き続けてきたのかもしれない。
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