昔、ノーベル文学賞候補となった三島由紀夫氏は、誰かとの対談の中で「カミュはノーベル文学賞を得たから優れた作家なのではない。優れた作家だったからノーベル賞を得たのだ」というようなことを言った。カズオ・イシグロ氏も、ノーベル賞にはさほど興味を示していなかった。それは「ノーベル賞を得た後、優れた作品を書いた作家を知らない」からのようであった。この二人の言葉は重い。履歴としての「ノーベル文学賞」は輝かしい。けれども、それは過去の作品、過去の業績に対しての評価である。それに「ノーベル賞」を得ているから“優れた文学だ”という捉え方自体が間違っている。三島氏の言うように、仮に文学賞など得ていなかったとしても、元々カミュは“偉大な作家”だったのだ。正に“天才・三島”らしい捉え方である。私が何よりも三島氏を“天才”と感じたのは、彼が“自決する直前の朝”まで一睡もせず書き上げた最期の原稿に、誤字・脱字が一字もなかったと編集者が話していたことによる。普通の日ではない。自決する直前の深夜である。しかも寝ないで書き上げた原稿である。正直、私は、特に三島由紀夫のファンだというわけではない。何作か読んだが、好みという点で、それほど好みの作家ではない。けれども、自決する前夜に、誤字・脱字を一文字もなく書き上げる心情はいかばかりであったか。文字通り「天才」としか言いようがない。そういう意味で、私も初耳であった“カズオ・イシグロ氏という作家・作品”に、多くの人が興味を持ったのは当然で、書店で注文が殺到しているらしい。だが、くれぐれも最初に掲げた言葉を忘れないでほしいのだ。近年は日本の“芥川賞”や“直木賞”等の文学賞も、それらを得ることで急に売り上げが伸びる現象が続いている。「文学賞」という着物を着ることで、作品が美しく見えるとでも言いたげである。だから、大きな出版社から出版された書籍が“賞”を受賞しがちである。審査員たちに何らかの力が働くのか。日本の場合、海外の作家・作品は、よほど世界的に有名とかベストセラーにならなければ売り上げを伸ばせない。一つには、書店の“目につく場所や書棚”に、それらが置かれていないことによる。置かれていなければ、眼につかなければ、いくら読書好きでも、書店に頻繁に足を運ぶ人でも、海外作品は“遠いもの”になってしまう。せめて大型書店と呼ばれるところくらいは、“大きな出版社”の“同じ作家の本”ばかり置くのではなく、実用書なども含めて、さまざまな選択肢を与えてほしい。
この人の名前を久しぶりに女性週刊誌記事の中で視た。歌手で女優の五月みどり氏だ。現在85歳だが、昨年から認知症となって要介護施設の中で暮らしている。実質的には実の娘さんが訪ねて世話を 続きを読む
或るインタビュー記事を読んだ。精子提供を受けて生まれ、それを知らずに29歳まで過ごし、偶然知ることになって、その後は「なぜ知らせてくれなかったか」「提供者を捜し出したい」という気持 続きを読む
ホテル事業で赤字を膨らませていた企業が、いつの間にか“大きく変身”して、いまや「日本のストラテジー社」と呼ばれている企業がある。東証スタンダードに上場している「メタプラネット」とい 続きを読む
学歴詐称問題で“すったもんだ”したあげく、伊東市の田久保真紀市長は「続投」することを表明した。今年はどうも“そういう年”らしく、兵庫県の斎藤知事も最終的に「続投」となった。マスコミ 続きを読む
架空取引による「裏金捻出事件」で川崎重工は神戸造船工場の幹部ら関係者51人を懲戒処分にした。その“裏金”を飲食費やゲーム機提供に宛てていた海上自衛隊のトップを含む関係者93人に対し 続きを読む
TV画面に「逃げて‼」という文字が大きく出ている。いつまでも出ている。だが、実際には“3m”と予測されていた地域でさえ“1m”にも達していない。だが画面には、いつまでも「逃げて‼」 続きを読む
選挙によって野党がちょっとだけ多くなり、その結果として「現金給付」より「減税」に傾く可能性が、ちょっとだけ強くなった。最近は日本だけではなく世界的に“極右政党”が大躍進の時代となっ 続きを読む
「石の上にも3年」という言葉があるが、山形大学が「ナスカの地上絵」の研究を始めて早や20年が経過している。石の上にも20年だ。その結果、今回も「248点の新しい地上絵」を発見したそ 続きを読む
確か2年ほど前まで「生涯収支マイナス2億円君」だったような記憶がある「霜降り明星」粗品氏が、現在は「生涯収支マイナス4億円君」に変っていて、相変わらず毎週土曜日に彼自身の“競馬予想 続きを読む
われわれはどうしても「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、苦悩しているときには「これさえ上手くいけば幸せになれるのに…」などと思いがちなものだが、いざ、それが過ぎ去ってしまうと、もう“その 続きを読む