180億円の間違いではない。180兆円だ。一企業の“評価額”としては文字通り世界最大で、アメリカのアップルやグーグルも及ばない。新規株式公開によってサウジアラムコは約180兆円の評価額を目指すことを17日公表した。もっとも、この金額はサウジアラビアのムハンマド皇太子が目標としていた2兆ドル(216兆円)には少し届かない。実際には12月に地元であるサウジの証券取引所に上場される。サウジアラムコというのはサウジアラビアの国営石油会社である。どうして上場するのかというと、石油依存からの脱却を目指しているからだ。おそらくドバイとかアブダビとかと同じく「観光国家」を目指しての資金調達と見られている。今回の場合には2000億株の僅か1.5%だけが売り出される。ところが、それだけで2.8兆円にもなる予定なのだ。2.8兆円もあれば、外国人向け観光施設をいくらでも充実させられる。実は、この企業、上場は国内だけを目指しているのではない。手始めに“国内”なのだ。だから今回はアメリカ人とか、日本人には売ってくれない。もっとも、売られたところで買うことなど出来ないが…。さて、なぜ私がこれを書くのかというと、今後、もしかしたら東京証券取引所に上場される可能性もあるからだ。世界最大の企業が株式で日本に上陸するかもしれないのだ。サウジアラムコとしては本当はニューヨークに上場したい。ところがアメリカの場合、審査基準が厳しくなかなかに面倒で簡単には通りそうもない。そこで、そういう点では“やわに出来ている”東京市場ならすぐにOKが出そうなのだ。というか世界中から資金が向かって来るので大歓迎なのだ。もっともニューヨークが難しいなら香港を目指そうか、という話も内部的には出ているらしい。一応、3か所に上場予定のようなので、東京証券取引所もまだまだ捨てたものではない。アメリカの株式は連日のように“史上最高値”を更新し続けているダウやナスダックだが、日本の株式は今一つ盛り上がらない。企業収益が低迷しているから当然だが、日経平均は30年前に付けた“最高値”から比べると、まだ6合目辺りでもたもたしている。世界中の眼が向けられ、世界中から投資資金が入ってくるためには「アラムコ」に“婿”になってもらわなくては…。
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