私が最初に《飲み込まれていく「香港」》というタイトルで、その“危うさ”を書いたのは数年前だ。それから2018年1月15日には《台湾やマカオまで「一つの中国」と言われても…》と不吉な予兆について書いた。さらに今年6月11日には《103万人デモを支持する香港“雨傘運動の女神”周庭氏》という形でも、その“危うさ”を示唆しておいた。まだ日本での報道は小さかった頃だ。そして7月7日にも《「抗議の自殺5人目」が出る(⁉)香港》として、今後の可能性を暗示した。この頃になって、ようやく日本のマスコミは「香港」デモを“大きく扱う”ように変わった。それは“世界”が、そういう報道の仕方に変って来たからで、その“後追い”をし出したに過ぎなかった。いつも思うのだが、何でも「予兆」というものは相当早くから出ているのだが、多くの人は“その部分”を見てもあまり反応しない。もう、取り返しがつかないような状態になって初めて騒ぎ出す。これは一つの「国」というか「街」というか、そのいうものの“変化”=“運命”だが、基本的には個々の人間の“運命”でも同じことである。「予兆」は最初、何でもないことのような形で“小さく表れる”。だから多くの人達は“その変化”に鈍感なのだ。けれども、やがて、その“小さな渦”は徐々に“大きな渦”へと変わっていく。「香港」に話を戻そう。実は数日前、香港の英総領事館員のサイモン・チェン氏が中国政府に拘束された。これは英国に対する“無言の警告”を意味する。どうして、そんなことをするのかというと、中国政府は「香港」の連日のデモや抗議に対して「英国」からのさりげない援助や協力があると睨んでいるからだ。元々“英国領”となっていた期間が長かった「香港」には“英国系の血”を引き継いでいる市民も多い。そういう市民たちに対して、英国居住を促そうとする動きが出てきていることへの“警告”なのだ。けれども、実は香港人たちに“救いの手”を差し伸べているのは「英国」だけではない。同じように「中国」を怖れ、距離を置こうとする「台湾」にも続々と移住しようとする人が出始めている。さらに6月以降、急速に増えだしているのがマレーシアやタイに住居を購入しようとする香港市民たちだ。もちろん、それは“投資用”などではなくて“居住”の為である。つまり、香港の富裕層は直接デモには参加しなくても、着々と“海外逃避”の準備を進めているのだ。このまま長期間の混乱が続くと間違いなく「香港」から富裕層は消えていく。香港の繁栄を支えてきた人達が居なくなってしまうのだ。「中国」が香港を飲み込むことは出来ても、その“実態”は“抜け殻の香港”であり、廃墟と化した街の哀しい姿なのだ。
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