最初にお断りしておくが、私は“特定の宗教”だけを信仰する者ではない。ただ“信仰”とか“宗教”とかが、人間の運命に大きな影響を与えるものであることは否定できない。もちろん、私は占い師であり、信仰以前に「運命」と呼ばれるものの持つ“圧倒的な力”を認めざるを得ない。それは立場上でもそうだし、数多くの実占例による経験上でもそうである。或る意味で、それを客観的に描こうとしたのがスコセッシ監督の映画『沈黙―サイレンス―』だ。原作は遠藤周作著『沈黙』で、江戸時代のキリシタン弾圧下の長崎を舞台としている。ポルトガル宣教師の葛藤と“隠れキリシタン”の姿について描写された内容だ。アメリカでの上映は一部で昨年12月23日から始まっているが、日本では今年に入って1月21日からだから、まだ半月余りしか経っていない。スコセッシ監督は、この作品の構想から上映までに28年を要したらしい。ところがアメリカでの評価は真っ二つに分かれている。そして“悪い評価”の方が圧倒的に多い。確かに“単純さ”が売りのアメリカ人に、この映画の中身は“深すぎる”し、“重すぎる”のだ。現在のアメリカを代表し、最近「不均衡」を口にするトランプ大統領にはぜひ見せたい映画だが、途中で苛立ち席を立ってしまうかもしれない。同じく慰安婦像をあちこちに建てている韓国人の方達にも見せたい映画だが、こちらは映画館の前に“慰安婦像を建てよう”と言い出すかもしれない。そういえば、原作の『沈黙』が発表された時にも、欧米のキリスト教権威者たちから総攻撃があったらしい。ここに描かれているのは「本当のキリスト教ではない」という的外れな批判だった。遠藤周作氏は、それならば…ということで、その後に小説『イエスの生涯』や『死海のほとり』を描いて「これが本当のキリスト教です」と彼らに示した。何も出来なかったイエスや、裏切った信者たちのありのままの姿を描いたのだ。そして丁度、小説『沈黙』発表から50年の節目に、西洋人監督による映画『沈黙』が公開された。そして、どのように評価されようと、神は“沈黙”で応えるのだ。
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