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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


モスクが破壊された跡地「ヒンドゥー教寺院」


欧州や中東には「教会を改装してモスクにした」とか逆に「モスクだった建物を利用して教会にした」とかいう不可思議な建物がときどきある。時には双方の特徴が残されたままの建物まである。古来から、宗教対立は戦争に至るもっとも多い原因のひとつで、その象徴的な存在である教会やモスクを攻撃・破壊するのは当然かもしれなかった。国土が広く、民族も多種多様のインドの場合、宗教的には一応ヒンドゥー教徒がもっとも多いが、それ以外の宗教徒も多数存在する。とくに北部の方には地域的影響からイスラム教徒も少なくはない。その北部ウッタルプラデシュ州のアヨディヤでは22日、モディ政権が主導し320億円もかけて豪華な装飾を施したヒンドゥー教寺院が完成した。その落成式においてインドのモディ首相は「感動的な瞬間だ」として、そのヒンドゥー教寺院の完成を悦んだ。実はモディ首相は「ヒンドゥー至上主義」を掲げていて、ここも北部の重要なヒンドゥー教の拠点と位置付けている。ただ、この土地は元々イスラム教のモスクが建っていたところで、1992年に宗教対立からモスクが破壊され、同時に約2000名のイスラム教徒が死亡した。したがって、首相自身にとっては感動的かもしれないが、国民の多くは再び宗教対立が深まるのではないか、と懸念しているのだ。実際、インドの場合、どんなに頑張っても“一つの宗教”だけに統一することなど出来ない。この寺院に320億円もの費用が投じられたことに少数派のイスラム教徒が黙っているはずがない。経済面で力を発揮し、国民からの信頼も厚いモディ首相は明らかに「ヒンドゥー至上主義」を一気に加速させようとしているように視える。近い将来、中国を抜いて経済的にも急伸しようとしているインドにとって“思想的・宗教的統一”は重要な課題だが、今すぐ“一つに統一できる”ほどインド国民は単純ではない。大きな暴動になど発展しないうちに、宗教的対立を緩和する手立てを打たないと、徐々に対立が激化していって、モディ政権を根底から揺さぶり始めるような状態がやって来ないとも限らないのだ。
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