ミステリー作家の草分けとして有名な江戸川乱歩の著作に『屋根裏の散歩者』という中編がある。作中の主人公は毎日、アパートの屋根裏板に空いた穴から覗き見をして、他人の私生活を知り、やがて“完全犯罪”となる殺人方法を思いつくといった内容だった。「屋根裏部屋」というのが存在すること自体を、私はその小説で初めて知った。江戸川乱歩氏にはそういう小説が多く『人間椅子』なども、革張りのソファの中に入り込んで、その椅子に腰掛ける女性の重みを全身で受け止める…といったような、或る種、コントのような世界なのだが、その一方で“隠微な悦び”のようなものがあって、マニアックな人達には“受けそうな物語”が多かった。だが、それはあくまで「小説だから…」と思っていた。けれども、そうではなかった。広島県向島で脱走して行方をくらまし、その後三週間にもわたって身を潜めていた平尾龍磨受刑者が、向島ではなくて本州の方で捕獲された。何んと、彼は海を夜中に泳いで渡って、島から本州へと移り住んでいたのだ。しかも、そのいずれもが“空き家”を見つけ出し、そこに身を潜めていた。向島では、まさしく“屋根裏部屋”に暮らしていた。だから、捜索にやって来た警察官も気付かなかった。それも、二度も来ていて分からなかったのだ。まさに「屋根裏の散歩者」健在といったところか。屋根裏にはTVや布団も持ち込まれていた。ちゃんと生活できているところがすごい。実は、向島には1000軒以上の空き家が存在するのだという。そのことにも驚きである。それなら一軒くらい紛れ込んでいても気付かないはずである。几帳面な彼は、逃走動機などをメモ書きしていた。それによると刑務所内の「対人関係」が耐えられなかったらしい。う~ん、刑務所内の「対人関係」というところが、泣かせる。よっぽど、彼は“人との関わり方”が下手なのだろう。だから、むしろ、一人で「屋根裏の散歩者」となった時、彼は対人関係には悩まなくて良くなったのだ。元々、彼は人を傷つけるタイプではない。その代わり、窃盗はお手の物だ。何しろ、これまで120件もの“窃盗犯”として捕まっているのだ。まあ、プロと言って良いだろう。その技術を、何かに使えそうな気がするのだが…。やっと捕まったが美味しい食事を与えられ、ぐっすりと眠れたらしい。どうか対人面で悩まなくて済むような独房に入れてやって欲しいと思うのは、私だけなのだろうか。
奇妙なことに、年末が近づいてくると、人は「過去」を振り返る。それも去年とか一昨年の“身近な過去”ではなくて、ずっと遠い「子供時代の過去」についてだ。年末以外には“忘れている”のに、 続きを読む
北九州市内のマクドナルド店舗内で12月14日、平原政徳容疑者(無職43歳)が無面識の二人の男女中学生を刃物で殺傷した。防犯カメラ映像などの追跡から平早容疑者が浮上し、19日になって 続きを読む
ときどき「良い悪い」とか「正しい正しくない」とか……そういうこととは別の「人間として…」考えてしまうような問題が発生する。多くの人が関心を寄せ、同時に心を曇らせるニュースが入った。 続きを読む
謎の飛行物体が、米ニュージャージー州を飛び交っている。11月中旬以降に頻繁に目撃されるようになった。確かに映像を見てみると、明らかな飛行物体で、その点は間違いがない。問題は“どうい 続きを読む
世界的な自動車メーカー「ホンダ」と「日産」が経営統合のための協議を始めた…との報道が出ている。これに将来的には、日産とかかわりの深い「三菱自動車」が加わって“三社統合”となっていく 続きを読む
人間には大きく分けて“二種類の人間”がいる。自分の“過去に執着するタイプ”と、過去にどんな出来事があっても、それはもう過去のこととして“執着しないタイプ”だ。そうして、どちらかと言 続きを読む
資生堂、コーセー、花王、ポーラ……と言えば、日本を代表する化粧品メーカーだ。これら企業は、中国をはじめとするアジア各国への輸出量が多く、広く“そのブランド名”が知れ渡っている。先進 続きを読む
人はときどき人生の途上で立ち止まる。「この道だけが自分の道なのか」と、立ち止まる。多くの人は、一時的に立ち止まるのだが……そのまま進んでいく。少数の人だけが、立ち止まった後「もう一 続きを読む
誰もが、解かったような解からない雰囲気で、このニュースを伝えている。アメリカ次期大統領のトランプ氏が日本の「安倍昭恵氏」を15日、彼の邸宅である「マール・ア・ラーゴ」の夕食会へと招 続きを読む
日本は“治安の良い国”として世界中から知られている。それは事実だ。けれども、失くした財布が3年後になって戻ったからと言って、すべての人が“心優しい人たち”などと誤解をしてもらっては 続きを読む