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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


心温まる「仲良し」だった「ゾウさんの親子」


最近はなんでもかんでも「動物愛護」とか言うが、別に“特別な想い”などなくても、“困っている親子”がいれば、本能的に人間たちは助けようとするものだ。タイ中部の国立公園内で、園内を散歩のように歩いて来たゾウの親子、たまたま工事中で四角に掘られていた穴の中に、子ゾウの方だけが落っこちてしまった。母親ゾウがそれに気付いて近づき、子ゾウを導き出そうとするが、3mくらいある穴は真っすぐ掘られているため掴みどころがなく、子ゾウの脚では途中で滑り落ちてしまう。母親ゾウも鼻を使って何とか上から引き上げようとするが、なかなか上手くゆかない。穴自体は小さすぎるので、母親ゾウの方は入っていくことも出来ない。我が児を救わんと嘆きの大声を上げ始めた。事件を知った公園管理のスタッフ5~6名が周囲を取り囲むが、母親ゾウが興奮しているため近づくことも出来ない。そこで、こういう時に役立つのが麻酔銃だ。母親ゾウに麻酔銃を撃ち、大人しくさせる。まるでスローモーションのように、母親ゾウがゴロリと横になる。その様子を視た子ゾウは、母親が自分を見限ったと勘違いしたようだ。それでも必死に這い上がろうとする。だが、どうしても上手くゆかない。そこで登場したのが今度は重機だ。重機を使って外側から地面を崩していき、垂直だった壁を階段状にしてあげる。そうすることで、子ゾウはやっとの思いで四角い穴から滑り落ちずに脱出できた。ただ脱出したところに母親ゾウが横たわっている。子ゾウは死んだと思って哀しそうな鳴き声を虚しく繰り返す。公園スタッフたちが、今度は母親ゾウを眠りから目覚めさせるべく刺激を与える。顔や胸部付近を叩くとか、飛び乗るとかする。こうして、やっとのことで母親ゾウも目覚めた。気が付いたらスタッフたちはいっせいに逃げ出す。暴れる可能性もあるからだ。子ゾウを視て、母親は安心したようだ。こうして、母親ゾウと子ゾウとは何事もなかったかのように、公園スタッフたちに礼を言うこともなく、ゆっくりと森の中へと消えていった。子ゾウが落ちた時の母親ゾウの取り乱し方、地上に這い出て来たとき母親が死んだと勘違いした子ゾウの嘆き哀しみ方、そのどちらもが純粋な愛情に満ちている。そして、子ゾウ救出劇に奔走した管理スタッフの方達も、仕事としてだけでなく“ゾウを愛するもの”としての愛情に満ちていた。わざわざ「動物愛護」などと言わなくても、人は野生の動物たちに対して本能的に優しいのだ。
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