あまり大きく報道されていないが、10月23日に一つの注目すべき事実が明らかにされた。黒海の海底に大小60隻以上の船が沈んでいて、その多くは水深2000メートルの地点にあって、有機物が付着しないため無傷のままであり、ガス田調査などに使われる遠隔操作可能な“深海カメラシステム”を活用することで、これらを映像化できるというのだ。その中でも、古代ギリシャの交易船とみられる船が無傷のまま見つかっており、放射性炭素年代測定によって約2400年前の船であることが確認された。おそらく、これは完全な形で見つかった“世界最古の船”として注目されている。かつてギザの大ピラミッド脇の竪穴に“解体した形での船(太陽の船)”が見つかって騒然となったが、今回は中身の詰まった“貿易船”であり、何が出て来るのか、そういう意味でも興味深い。前400年頃と言えば、古代ギリシャ文明の最盛期であり、多くの哲人たちが出現した時代でもある。海底というのは、地下と異なり、発掘しようと、引き揚げようと、許可さえとっていればどこからも文句が出ない。ただ莫大な費用が掛かるだけである。そのため深海に眠っているのはわかっていても、そのままになっている船や遺跡も多い。クレオパトラ時代の遺跡など、アレクサンドリア近海に眠っているのはわかっていても大した調査・撮影や引き上げは行われていない。もっとも今回のような深海でなければ遺跡自体が荒廃してしまっているケースも多い。科学的発明は未来のためのものと思われがちだが、実は“過去の研究”である考古学の分野で大いに役立っていて、今後もさまざまな発見が期待できる。日本近海では、それ以外にも“未来のエネルギー”が海底に眠っている。これからは宇宙にお金を掛けるよりも、海底にお金を掛ける方が、はるかに役立つ時代に入ったのだ。
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