よく「日本人は働き過ぎた」と言われてきた。ところが最近は、そうでもないらしい。イギリスのベッド用品メーカーが世界16か国を対象に行った調査では、最近の日本人の労働時間はそれほどでもないらしい。もっとも労働時間が長いのはメキシコで、次がシンガポール、次が中国のようだった。いつの間にか「働き詰めの日本人」というイメージは、政府が打ち出した“働き方改革⁉”が功を奏して、実際に切り替わっていっているのだろうか。もちろん、この調査は“労働時間”だけを対象としたものではない。“睡眠時間”などの項目もある。何を調べようとしたのかというと「世界の疲れている国」のランキングなのだ。そこで1位となったのはシンガポールである。2位がメキシコ、3位がブラジル、4位がアメリカ、5位が日本……。不思議にも、この調査では日本人よりもアメリカ人の方が「疲れている国」と示されたようだ。よく、欧米人はこの種の調査を好んで行うが、彼らは何でも“数字に置き換える”ので、それがそのまま“正しい結果”なのかには大いに疑問が残る。実際、疲れやすいかどうかなど、労働時間とか、睡眠時間とかには、あまり関係がないような気もする。元々の体力というものもあるし、その時々の精神状態というものも大いに影響する。私は大昔、まだ会社勤めをしていた時、私の仕事は時折“大いにヒマ”となる時期があった。もちろん会社勤めであるから、別にヒマであっても、給料は普通通りに出る。ほかの人たちが忙しいからだ。だが、他の人たちが忙しい時に、自分だけが暇な状態が何日も続くと、私のように自分の好きなことを“自由に行っている”者であっても、なんとなく疲れる。精神的に“会社の仕事をしていない”ことが、疲れるのだ。別に誰に咎められることもなく、ましてや私など皆と若干離れた場所に居るので、ひとりで楽しんでいたのだが、それでも“疲れる”ことは疲れるのだ。考えてみると、仕事で忙しい方が“疲れない”場合もある。結局、そういう点から考えると、データ的に示された「疲れている国ランキング」は、あまり意味のないランキングかも知れない。
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