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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


自分の「死亡届」を出した息子は…


茨城県守谷市で彼は出生した。高校時代までは真面目で口数は少ないが活発だった。高校野球部でそこそこ活躍もした。卒業後は地元の消防士となった。それは彼が子供時代から「なりたい」と言っていた職業だった。それから間もなく、高校時代から付き合っていた女性と結婚し、子供も生まれた。ところが、徐々に彼が変わり始める。職場に出ない日が多くなったのだ。結婚後も実家暮らしをしていた彼は、ある日、家族の前で突然「もう消防署に行きたくない」と号泣した。理由を訊くと「イジメられている」と告白した。そして間もなく、彼は本当に職場を辞めてしまった。無口で真面目な彼が、ちょっとしたいびりとか叱責に反論できないであろうことは容易に想像された。だから、誰も、辞めたことを咎めなかった。けれども、そこから彼の人生は大きく狂っていく。新たな職場としてコンビニとかレンタカー会社に勤めたが長続きしなかった。職場を変わるうち、徐々に対人恐怖症が出てきた。精神科で薬をもらうようになった。家族との関係も悪化し、やがて離婚となった。子供は妻の方が引き取った。ふさぎ込み、引きこもることが多くなった。2008年2月、街の消防署に侵入し、消防服を盗み出し、消防服姿でコンビニ店に行き「定期点検です」と言って奥に入って、9万円を盗んだ。警察は“金目当ての犯行”と決めつけたが、父親は本人が“欲しい”といった金は与えていた。消防服姿に戻りたかったのだ。今年1月半ば、いつになく息子は明るかった。「IT企業に就職が決まりそうなんだ」「IT企業なんて、おまえに大丈夫なのか」またイジメられるのではないか、父親には嫌な予感が走った。息子は楽しそうに笑った。3月28日、警察が来て、息子が逮捕されたことを伝えた。「有印文書偽造・同行使」「電磁的公正証書原本不実記録未遂」という罪名だった。茫然となる父親に、警察官は息子が1月23日夜9時ごろ、市の庁舎にやって来て、身内の者だとして「死亡届」を警備員に渡して立ち去った。ところが、その届に空欄が多いことに疑問を持ち、調査した結果“偽造”と判明したのだ。なぜ、自分自身の「死亡届」を出そうとしたのか、本人は黙したままである。

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