世の中には“大衆の一割”から愛され支持される人と“大衆の七割”から愛され支持される人とがいる。本来「マツコ・デラックス」という人は前者のタイプだったはずだ。少なくてもテレビに出始めた時、誰もがそう思ったし、本人もそう思っていたはずだ。ところが、世の中は“ユニークな毒舌家”を待っていた。マツコ氏の発言は的を得ていて面白かった。それに、その風貌が何とも奇妙だった。「女装家」を名乗ったが、女装とは相いれないような巨漢の大男だった。あっという間にその名は“お茶の間”に浸透していった。実は“巨漢の大男”であったことが、女装家である彼にはプラスに働いた。女性から“敵対視”されずに済むからである。女性達は“女よりも美しい”女装家を好まない。明らかに自分たちが“優位に立てる女装家”を好む傾向がある。そういう点でマツコ氏は誰よりも“優位”に立っていた。その後も続々と女装家は登場したが、マツコ氏のような博識で“鋭い観察眼”を持つ女装家は出て来なかった。こうして、いつの間にかマツコ氏はたくさんのレギュラー番組を抱える超多忙な“売れっ子タレント”となった。本来は“大衆の一割”から愛されるべきタレントが“大衆の七割”から愛され始めていた。ここに問題があった。本来“大衆の一割”から愛されるべきタレントは、“大衆の七割”から愛されるような形になってはいけないのだ。そうなると、必ず「敵」が出てくる。“一割”であれば、どんなことを言おうが、どんなことを行おうが誰も何も言わない。けれども“七割”に変ってしまうと、そうはいかなくなってくる。その発言が、社会的影響力の大きいことを誰もが認識し出すからだ。だからタレントが“好き勝手なこと”を言い続けるためには“超売れっ子”になってはいけないのである。最近、マツコ氏は“二手”のところに「敵」を持った。その一つは元SMAPのメンバーと「共演したくない」発言であり、もう一つは「N国」議員に対して「気持ち悪い」発言をしたことである。その両方共に、かなり熱狂的ともいえる支持者を抱えている。実はマツコ氏の発言は、これまでの彼の発言とそんなに大きく変わるものではなく、世の中の多くの人達は“似たような意識”を持っている可能性がある。だから、本当はそんなに叩かれるような発言ではない。けれども彼らは“熱狂的な支持者”を抱えていることを忘れてはならない。これまで、どちらかと言えば“弱者”に味方する発言の多かった人は、そうでない発言をすると必ず叩かれる。特に「女装者」である彼は「気持ち悪い」などと表現してはいけないのだ。それは、そのまま“自分に還って来る”言葉だからである。あまりにもたくさんの番組に出過ぎて、その発言の影響力が大きくなり過ぎたことが、今後のマツコ氏の孤立を深めそうだ。
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