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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


2か月の間に「職員30人一斉退職」の高齢者施設


通常の事業と違って“高齢者施設”とか“介護施設”とか“児童保育”など公共性の強い事業の場合、或る程度、その地域における行政機関が“一定の基準”を設けて監督・指導する義務があるよう私には感じられる。そうでなければ、安心して自分の家族の命を“そこ”に預けることはできない。基準というものを持たずに、完全なる民間事業として放置すると、どうしても“怪しい企業”や“怪しい経営者”が紛れ込んでくる。都内で昨年10月にオープンしたばかりの高齢者施設が問題になっている。まだ開設して一年経ったばかりだが、この2ケ月の間に“給料不払い”で職員30人がいっせいに退職。残った職員だけで90人以上いる高齢者たちの面倒をみなければならない異常事態が続いている……というのだ。しかも、突然9月26日に運営会社の方から「施設閉鎖」の貼り紙がなされたらしい。現在、東京都の方も問題視して運営会社との間で話し合いが始まっているらしいのだが、とりあえずの処置を講じないと、そこで現在も働いている職員や、そこに入居している90人の高齢者たちとその家族にとっても安住の場とはなり得ない。いまは公共性の強い職種であっても、商売として旨味があると思えば、参入してくる事業者が居る。本来、この種の事業は、或る程度のボランティア精神を持っている事業者でなければ、参入が難しいものだ。そこで働く人たちにとっても、決して“労働力に見合う収入”とはならない。大体がそういうことを解ったうえで入って来る職員が多いはずで、そういう人たちがいっせいに辞めていくのは余程のことなのだ。現在、都内における高齢者施設の平均では入所者一人約20万円を支払ってもらわないと、実質経営が難しいという。それなのに、この施設の場合にはひと月約11万円の“格安料金”を謳って入所者を募集したという。経営が傾くのは当然なのだった。現在、社長は“雲隠れ状態”で既に「弁護士に入ってもらっている」という感じで経営継続の意志はないと思われる。公共性の強い事業は、未知の経営者が机上の計算だけでスタートできるようなものではない。行政が監督や指導をしていかないと、今後もこの種の問題が発生していくに違いなく、地域によっては“理想的経営”を実現したところもあるかもしれず、どのような形が取られれば経営者にとっても、職員にとっても、入所者にとっても、その家族にとっても、その地域にとっても、好ましい形を作って行けるのか、考えるべき時代に入ってきているような気がする。
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