5月, 2013年

蘇っていく「世界の中の日本」

2013-05-16

昨年、安倍晋三氏の自民党政府が誕生して「アベノミクス」旋風が吹き荒れてから、それまで低迷していた“世界の中の日本”が、ここにきて俄然注目を浴び始めた。まるで、それを待っていたかのように世界中から投資マネーが集まり日経平均株価がぐんぐんと上昇し始め、デフレの根源とされた円高から円安への流れが一挙に加速していった。黒田日銀新総裁の大胆な金融政策も大きい。株価は4000円以上駆け上がったし、円ドルは20円近くも円安へと流れた。不測の出来事が起こらず、この流れが続けば今年中に日経平均は1万5千円に届くだろうし、円ドルは110円まで進むだろう。世間的にはこの部分だけが注目を浴びがちだが、外交面でも新政権は矢継ぎ早に手を打っている。日米同盟を再確認し、TPPに参加し、タイ・ベトナム・台湾・ミャンマーと接近し、中国や韓国を経済面・領土面から巧みに牽制する作戦に出ている。ロシアとも協定を結ぶことが出来れば、将来的なことも含め日本の外交戦略はがぜん有利に立つ。ここ4~5年、日本の領土・防衛・外交、それに各企業のアジア進出は不安にさらされ続けてきた。日本国政府の方針がはっきりとせず、すべてに弱腰で、円高によるデメリットも国際競争で後れを取る要因だった。それらすべてが急速に修正されつつある。少子化が加速し、輸出企業が多い日本の場合、円高是正とデフレ対策は緊急の課題であったのだ。

2年で2%インフレ目標は容易ではないが、今の勢いで経済が回復していけば十分射程距離にはある。北朝鮮の暴走とかユーロ圏の金融危機再現が起こらぬことを願うばかりだ。

アメリカの軍事基地が日本国内にあることは日本の防衛上の観点からは大変有利なことで、中国や韓国や北朝鮮から攻め込まれることを、防ぐ意味での抑止力として大いに役立つ。日本が他の国との領土問題に巻き込まれないためにもアメリカ軍は居てくれた方が良い。尖閣問題や竹島問題が表面上鎮静化しているのは、アメリカ軍が自衛隊との合同演習を開始したからである。アメリカ兵の管理や戦闘機の飛行問題などクリアすべき部分はあるが基地自体は存在した方が良いのだ。

本当はロシアとの領土問題もなるべく早く解決すべきで、今すぐの解決が無理なら取りあえず何らかの協定を結んでおいた方が良い。長期的に見たとき、島国日本は東南アジア諸国との関係、アメリカとの関係、ロシアとの関係を良好なものにしておくことが大切なのだ。我が日本国が、どこからも領土侵略を受けず、中国や韓国とも経済的な協調関係を持続していけることが理想だ。北朝鮮との関係も拉致被害者家族がいる以上、敵対し合ってばかりいて良いはずがない。防衛力だけでなく、経済的にも“強い日本”を蘇らせることは重要で、若者や子供たちが自信を持ち、豊かで平和な国にしていくことは中年以降の日本人の課題と言えるだろう。

私は「占いの世界」においても、日本は今後“世界をリードする時代”に入っていくべきだという考えを持っている。前にも何かに書いたが、日本というのは、或いは日本人というのは東洋と西洋の中間に立つようなところがあって、生活面のあらゆる部分でそれを感じさせるようなところがある。占いの世界においても、西洋占術と、東洋占術を、これだけ両方とも十分に消化して使いこなしている人種や民族はおそらくいない。そのどちらもが世界のトップレベルにある。しかも、あらゆる占術の研究者が日本にはいる。よく中国占術など、中国人の方が研究レベルが高いかのように誤解されている人があるが、そのようなことは決してない。日本人が書いた専門書の中には、中国の専門書をはるかに凌駕しているものがある。西洋占術にしても広範囲に見たとき、日本の研究レベルは決して低いものではない。但し、著述化されている市販書の中には初歩的な本も多い。言語の問題から欧米の本格的研究書が少ないのは改善すべきだ。けれども研究者の中にレベルが高い人物がいることは確かで、そういう人物や研究書を押し上げるような社会構造になっていない点が惜しまれる。それと、日本ではどういうものか中国原書とか、欧米原書とか、ただ単にその受け売りをしているような人物を高評価する“悪い癖”が見られる。翻訳者必ずしも“優秀な研究者”ではない。ましてや実占家として優れているかどうかは別問題でもある。本当に優れた研究者とは、中国原書も、欧米原書も十分研究・データ化して実践をこなし、その中から自分独自の研究・主張を発表できる人物である。早く、そういう人物が日本を、そして世界をリードしてほしいものだ。