熊本市の慈恵病院が「こうのとりのゆりかご=赤ちゃんポスト」の設置を始めて早9年になる。この間、百数十名の新生児がこのポストを経由して児童養護施設へと渡った。その後、里親になる人と巡り合う場合もあれば、実の親が“引き取りに表れる”ケースもある。最も悲惨なケースでは、父親がポストに預け、それをシングルマザーとなった母親が引き取り、けれどもやっぱり育てられずに母子自殺で亡くなった例もある。そうかと思うと立派な里親に引き取られて、心身とも健康に育っているケースもある。この病院の「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」には全国から年間5000件を超す電話が寄せられる。設置した当初の10倍以上だ。実際に預かるのは年間だいたい十数名だ。そのほとんどは生まれて7日以内の新生児であり、しかも自宅出産である。中学生や高校生、そうでなくても十代の母親が多い。熊本県という地域性もあって、北海道や東北から「ポスト」に来るケースはほとんどない。九州、四国、中国地方といった地域からの依頼者が圧倒的である。日本の場合、中学生や高校生で妊娠・出産した場合、その後の生活が大変である。入籍している場合は良いが、そうでないケースが圧倒的だからだ。一人悩んでいるうちに“堕胎が不可能な時期”に達してしまうケースも多い。私のところにたびたび相談に来ていた普通の主婦は、中学生の娘さんが“予期せぬ妊娠”をしてしまった時、慌てふためいて「先生、助けてください」と素っ頓狂な声を出した。実は、その数週間前、ボーイフレンドが出来たという娘さんのことを占って「一応、深い関係にならない方が良いと出ておりますので…」とアドバイスしたばかりだったのだ。その時、この主婦は「先生、その心配はありません。ボーイフレンドと言ったって、まだ中学生ですから…」と鼻で笑ったのだ。結局、すぐに堕胎し、二人は別れた。その後、娘さんは高校生となり、大学生となったが、よほど懲りたのか“勉強一筋”で、勉学や就職以外のことを診た記憶がない。“予期せぬ妊娠”は、人間の運命を大きく変える。
われわれは“運命的”としか言いようのない悲惨な事件や災難に出遭った時、この記憶や体験を“風化させてはならない”と考えがちです。或いはどこにもぶつけようのない“理不尽な気持ち”を持て余し、或る種の“恨み”や“憎しみ”に転嫁しがちです。けれども、そこで立ち止まってしまうと、その人の「人生」もそこで立ち止まるのです。どんなに“輝かしい未来”を奪われてしまったとしても、そこで立ち止まってしまうと「負の部分」ばかりを引き摺って行くことになります。まるで囚人のように「哀しみの重い鎖」を引き摺って行かなければならなくなるのです。どんな偉人も、自分の“過去”を変えることはできません。それは自分自身のことだけでなく、自分の家族や愛する人に起こった出来事も含まれるものです。“変えられない過去”なのに、その時の“記憶映像”や“言い表しにくい感情”を何度も何度も再生し、自ら“引き摺って行こう”或いは“背負い込んでいこう”とする人たちがいます。われわれの潜在意識には“善悪の判別”がありません。何度も映像化され、何度も“想いとして固定化”されてしまうと、潜在意識というのは、それを“現実に投影しよう”とする機能を持っているのです。つまり、未来が“暗いもの”に変えられてしまう可能性があるのです。例えば、愛する人の命を殺人事件で奪われてしまった場合、犯人を憎むのは当然の気持ちです。けれども、そこに固執しすぎると、未来が“失われたもの”になってしまうのです。それによって、犯人に“死を与える”ことはできるかもしれませんが、それで“愛する人が甦る”わけではありません。失ったものは取り戻せないのです。但し“新たな愛する人”を手に入れることはできます。「神」は“前を向く者”の手を、そっと導くのです。
カナダのバンクーバーに語学留学をしていた古川夏好さんが遺体で発見された。この事件が報道されてすぐ、私は「この一言で救われる」の方で、遺体で発見される可能性が強いこと、男性が絡んでいる可能性が強いことなどを指摘した。もっとも、発見場所は“水辺付近”と見たので、その点は違っていた。ここでは、その占い結果についてはどうでもよい。問題は、彼女が昔から“留学”や“海外生活”を夢見ていて、その長年の希望が叶っての“3か月の短期留学”だった期間を過ぎ、“1年半のワーキングホリディー”に変更しようとしていた矢先の出来事だったという点だ。つまり、彼女は当初の目的を果たし、そのまま帰国すれば事件に巻き込まれることなく戻れたのに…という点である。彼女は「人懐っこく明るい性格」だと誰もが評している。ここが危険なのだ。日本人で“人懐っこい女性”は、世界各地の“犯罪者たち”にとって、もっとも“狙いやすいタイプ”となってしまう。残念ながら、日本人は“警戒心の乏しい土壌”で育っている。周囲にも、悪いことをする人間が少ない地域で“開放的に育っている”と、どうしても疑うことを知らずに人と接してしまうのだ。「語学留学」や「ワーキングホリディー」は、その何となくのイメージにあこがれて、よく調べもせずに決行してしまう人が多い。彼女の場合でも、初めてなのに「シェアハウス」を選んでいる。ここに、彼女の“警戒心の乏しさ”が感じられる。海外でのシェアハウスは、もう少し経験を積んでからでないと、危険がいっぱいなのだ。実践的な英語を身に着けようとしていたのかもしれないが、基礎さえ身につけば、今なら日本に帰ってからでも勉強の方法はいろいろとあるはずだ。焦りすぎが、警戒心を完全に失わせてしまっていた。ホームレスだという犯人が“牙を剥き始めたとき”気付かず、会話することに夢中になっていた様子が窺われる映像は、あまりにも悲しい。
今日10月2日、ソフトバンクの松坂大輔投手が日本復帰後の初登板を行うらしい。と言っても先発ではなく、途中の1~2回だけの“様子見登板”だ。かつて「平成の怪物」と呼ばれ、アメリカ大リーグに60億円以上の金額で移籍していった選手とはとても思えない。松坂氏も既に36歳、投手としては“ぎりぎりの年齢”にきている。昨年から日本に戻ってきているが、8月に右肩を手術し、完治に時間がかかり1軍での登板がなかった。ハッキリ言うと日本に戻ってから、ほとんど仕事らしい仕事をしていない。それでも“契約”というものは恐ろしいもので、そういう松坂氏に球団は毎年4億円を支払っている。もちろん、来年も支払う。そういう“契約”だからだ。「海を渡る」ことによって、日本人はさまざまなことを学ぶ。その一つがアメリカは“契約社会”だということ。アメリカというより、欧米と言った方が良いかもしれない。何も仕事をしていないのに「4億円はないでしょう」というのは日本人的感覚で、契約社会に慣れると、それが当たり前になる。だから、松坂氏が“欧米流”に馴染んでいたなら、そのこと自体には平気なはずだ。逆に、馴染んでいなかったのなら、そういう部分が“メジャーで通用しなかった”のかもしれない。とにかく、彼は怪我や故障が多すぎた。アメリカにわたって、怪我や事故、故障や手術に巻き込まれやすい人は成功者となれない。方位的な作用で、怪我、事故、手術に巻き込まれると、能力が削がれる方位だからだ。総じてスポーツ選手は、そのことを知っておいた方が良い。近年は、優れた能力や素質を持った人たちが、気軽に海外にわたって勝負を試みる。別にスポーツ選手ではなくても、事業家でも研究者でもアーティストでもそうである。アメリカは方位的に、その成果が端的に出る。方位的に良い時期なら、あっという間に成功するし、悪い時期に当たると、能力などには関係なく、事故やトラブル続出で、心身とも傷を負って戻ってくることになる。判りやすい国なのだ。
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