日本では“働き方改革”だとか“女性活用”などが未だに叫ばれる。いま“叫ばれる”と書いたが、本来はこういう書き方はおかしいのであって、ごく自然に“そういう方向”へと進んでいかなければならない。指示して行うようなことではないのだ。その典型的な例をノルウェーに見る。8月31日、ノルウェーの運輸・通信相であるソールビークオルセン氏は、妻がアメリカのアラバマ州の病院に医師としての勤務が決まったということで、その妻に同行・移住する理由から“運輸・通信相”を辞任した。妻の米国行きに夫が追従するというのだ。しかも、その勤務は1年間の期限付きである。永久なのではない。もちろん彼は今の大臣の職務に誇りを持っている。「私は世界でもっとも恰好好い仕事に就けて幸運だった、今度は妻が夢を追いかける番だからだ」との言葉をSNS上に載せている。しかも、彼だけなのではない。時同じくしてノルウェーの石油・エネルギー相ソービクネス氏もまた首都のオスロから離れて暮らす前妻との子供との時間を増やすため大臣を辞任した。こちらは“前妻との子”という部分が注目点だ。日本でなら、とても恥ずかしくて“辞任理由”に出来そうにない。そう日本人の男性なら“そういう気持ち”になったとしても、とても恥ずかしくて“辞任理由”として提出できない。もし、そうするとしても“別な理由”に置き換えようとするだろう。私ならどうだろう。う~ん、やっぱり難しい。今の仕事に誇りを持っていて、責任感が強い場合、そう簡単に“投げ出せない”気がするからだ。“妻”や“前妻の子”への愛情が強かったとしても、“国家の命運”が掛かっている大臣の仕事を投げうってまで切り替えるのは容易なことではない。「今度は妻が夢を追いかける番だ」という言葉は最高に格好好いのだが、日本で同じことを言っても“通用しない”気もするし、しかも、それが“1年間の期限付き勤務”というのでは、あまりにしょぼい。どうしてもそう感じてしまう私は、やはり良くも悪くも“日本男児”だからだろうか。
時々思うのだ。確かに“未来社会”は便利だ。そして先進技術や医療は素晴らしい。確かにそうなのだが、何かが引っ掛かる。例えば8月31日からロンドンの高級デパートで売り出した「ジェットスーツ」だ。これを着ることで、人は自由に空を飛ぶことが出来る。決して未来の話ではない。実際に、今年から“売り出されている”のだ。既に購入者もいる。いくらなのかと言えば一着5000万円だ。えっ5000円じゃないの。そりゃそうだよ。空のあちこちにジェットスーツを着た地球人が右往左往しているなんて、なぜかいただけない。空飛ぶ「スーパーマン」は一人だから良かったんだよ。エンジンを着けて飛ぶんじゃない。背中にマントを翻して飛ぶからスゴイのさ。そう言えば無人型移動販売車が出来るのって知ってるかい。これはワンボックスカーに似てるけど完全自動運転で新鮮な野菜や果物、それにお菓子など届けてくれるんだ。この秋からカリフォルニア州でテスト販売に踏み切るらしいよ。確かに大雨や大雪の日に、玄関先までやって来てくれる無人の移動販売車は魅力かな。何をどう買おうと変な眼で見られることもないしね。店員さんでいるんだよ。無意識なんだろうけど「そんなもの買うんですか」って眼で見ながらレジを打つ人がさ。あれは嫌だよね。何を買おうが、こっちの勝手じゃないかって、思うんだ。そういう時には、やっぱり無人移動販売が最高だよ。ただね、何も話すことなく食べたいものが配達されるのも、それはそれでちょっと味気ないよね。結局、人は勝手なんだよ。便利にはなってほしいけど、でも、やっぱり何でも“自動”とか“無人”とかが続くと、それはそれで“つまらない”ものなのさ。めんどうだとか、やっかいだとか、しょうがないなあとか…そういう悪態をつきながら、それでも相手の顔を見て、話して、笑って、泣いて、怒って…結局、そういうの嫌いじゃないんだよ。確かにロボットは“癒しの言葉”を毎日かけてくれるよ。でも、しょせんはロボットだからね。時々、殴りつけてやりたくなるんだ。どうしていつも“優しい言葉”ばかりなんだって、哀しくなるのさ。時には“しっかりしろ”とか、“バカ野郎”とか、“お前が悪いんだろう”とか、?りつけてくれるロボットじゃなく、やっぱり人間が良いんだ。
今、世界中で“動き”が激しくなってきているもの、その一つが「通貨」だ。「お金」と言わずに「通貨」と言ったのには意味がある。「仮想通貨」も含めての話だからだ。まず通常の通貨、これは正確には「法定通貨」と呼ぶのだが、これが新興国のいくつかでおかしくなっている。トルコは“リラ”、イランは“リヤル”、ベネズエラは“新通貨”、アルゼンチンは“ペソ”が、それぞれ通貨の名称だが、いずれも急落している。例えばベネズエラの場合、話を分かりやすくするために、日本の“円”に例えると、7月までは“10万円札”として通用したものが、“新通貨”へと切り替わって“1円玉”の価値しかなくなってしまった。極端なインフレを抑えようとの試みなのだが成功していない。ベネズエラほど極端ではないが、トルコもイランもアルゼンチンも、似たようなものである。特に今週はアルゼンチン通貨が急落している。トルコリラが急落した時には近隣の外国から観光客が山ほど押し寄せた。そして、高価なものを買いあさった。日本からの観光客だって、数日間は驚くほど安く土産品を購入できたのだ。慌てた政府や経営者達は、外国人観光客にはこれまでの“ドル換算価格”を適用させた。外人観光客に商品の全てを爆買いされてはたまらないからだ。トランプ大統領の出現で、世界各地の通貨まで“落ち着かなく”なってきている。日本の「円」は一見、110円~111円前後で安定しているように見えるが、それは「ドル」に対してだけなのであって、このところじわじわと他の通貨に対しては“円高”が進行している。このように通常の通貨でさえも“危なっかしく”なりつつある時代なのだが、昨日「楽天」と「LINE」は相次いで「仮想通貨交換所」参入の意思表明をした。「サイバーエージェント」も“独自通貨の開発”に乗り出すことを宣言している。「楽天」の場合は既に存在している「みんなのビットコイン」を2億6500万円で買収し、10月1日付で本格参入の形を取る。ネット販売においては仮想通貨が有利であるとの考えに基づく。「楽天」の場合は「楽天証券」も傘下にあるので、そういう点でも都合が良いのだろう。これらのネットの“有力企業”たちが、相次いで仮想通貨を使用し始めることによって、一気に「キャッシュレス」が普及し始める可能性はある。ただ仮想通貨の変動が激しい現状では、危うさを含んでいることは否めない。もしかすると、今後、“投機としての仮想通貨”と“実用としての仮想通貨”と、同じ仮想通貨でも二極化していく可能性もある。ただ私はやっぱり“現金紙幣”の方が良い。
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