9月, 2024年
2024-09-05
近年、驚くほど多くの日本人サッカー選手が海外で活躍している。男女とも、そういう時代になった。ドイツの2部リーグで活躍していたMF田中碧氏が英国の2部リーグであるリーズからオファを受け“電撃移籍”した。一部報道によれば、ドイツに遺る予定で居た田中選手に対し「6億4400万」の提示を行って電撃移籍を成立させたという。しかも、そのため、自分のチームから主力選手たちを放出して“金額提示した”とも言う。それだけ価値のある選手ということだろう。ドイツのチームから英国のチームへ…日本の感覚で言うと、この時期に「そんなに簡単に海外チームへ」ということになるが、欧州では当たり前のこととして国境越えが実現する。もちろん田中氏にも異存はないようだ。25歳の若者にとって、ドイツもイギリスも“さしたる違い”はないに違いない。そういう感じで、いまや世界中から日本人選手にオファが来る世の中になった。国内にいる若い選手でも“そういうチャンス”が当たり前のように巡ってくる時代となった。ここで私などは“言葉の問題”はどうするのだろう…などと思ってしまうが、いまの若い人たちはほとんど、言葉を壁を気にしていない。それに、サッカー選手の場合、だいたいがフィールドの中でも目くばせ程度の合図でボールを送る。言葉はほとんど用いていない。野球でもサッカーでもバレーでも、多数の選手が参加する競技では、実質的に言葉は不要で、なんとなくの雰囲気で相手の意図を察するようでないと主力選手とはなり得ない。ドジャーズの大谷選手が、いつの間にか“盗塁選手”として定着したが、日本に居る時にはそんなに走らなかった。というより走れなかったのではないだろうか。日本人は“微妙な感覚”を見抜くのが上手い。そういう点では選手同士の間で「阿吽の呼吸」を求められるサッカーという競技は、いやバレーボールでも同様だが、日本人には“向いている競技”のような気がする。普段から日本人というのは、言葉を交わさずとも、相手が何を考え、何を欲しているか、本能的に察知する能力にたけている。瞬時の動きで、その欲求を理解するサッカーとかバレーとかは、そういう点でもっとも日本人の“先天的素質”を活かせるスポーツなのかもしれない。ただバレーよりもサッカーの方が、動きの点で、より勘が活かしやすい競技のような気もする。そういうような点から考えれば、今後ますます海外で活躍する選手が増えていきそうなのがサッカー競技なのだ。
2024-09-04
世の中にはさまざまなことを“自称する人”が居る。自称しても、それが特別世の中に“危害をもたらす”ことでない限りは、なんとなく傍観されるか、無視されるだけで済む。ただ、その自称する人物が、特別「世の中に影響力の強い人物」である場合は、多少、問題が出てくる。このほどノルウェーのマッタ・ルイーセ王女(52歳)は、永年パートナーと公言してきた霊媒師デュレク・ベレット氏(49歳)と正式に結婚式を挙げた。われわれはノルウェーという国について、そんなに知識がないので、どの程度の自由度がある国なのか分からないが、少なくとも“霊媒師”と“王女”の結婚を認める程度の自由度が存在しているのだ……ということを知る。この霊媒師はアメリカ出身の黒人で、自らを「精霊から力を授かった6代目シャーマン」と自称している。或いは「前世は古代エジプト王だった」とも自称している。それに対して、ルイ―セ王女の方は自らを「とてもスピリチュアルな人間」と語っていて、前夫との結婚中に「自分は霊能者である」と主張し、奇妙にも「天使と話す方法を教える学校」を設立している。俗に「相性が良い」という言葉があるが、なんとなく、この二人、合うではないか。少なくとも、まともだったに違いない前夫とよりは合うに違いない。晴れて正式に結婚したことで、ベレット氏の方は「わたしが古代エジプト王だったとき、その時にもルイ―セ王女は妻だった」と回想。周囲はたがいに眼を見合わせ「ごもっとも…」と頷いたらしい。もちろん、ノルウェー国民の中には素直に祝福できない人たちもいる。そういう人たちは“自称している二人”に対し「大丈夫⁉」と心配する人たちと「そんな王室はいらない‼」と拒否感をむき出しにする人たちと、大きく分かれるようだ。実際、最近のノルウェー王室の支持率は徐々に低下中だが、表向きは平静さを保っている。もし、同じようなことを日本の皇室女性が行ったら、どういうことになるのだろう。多分、平静さを保っている……とは思えない。だって有能な弁護士のもとに嫁いだって批難ごうごうだったではないか。週刊誌が次々と特集記事を出して「妖しい霊能者」に罵詈雑言が浴びせられるに違いない。少なくとも、そういう面において日本人はあまり寛容ではなく「天使の学校」を微笑ましく見守ってくれそうにない。
2024-09-03
どうもスッキリとしない「疑惑潔白会見」だ。総合格闘家の平本蓮氏が弁護士二人を同席して“薬物疑惑”を真っ向から否定した。そもそもの告発者が、身内側ともいうべき格闘家の赤沢幸典氏から出ている。しかも、平本氏が「潔白会見」を開く前にそれを察知し、改めて「自分の告発は真実だ」とする主張をSNS上で展開している。しかも、その証拠品として“音声録音”までが提出されている。一方の平本氏は「ドーピングの事実はない」として、そんなことをするはずがない、としながら正式に赤沢氏を“告訴”するかどうかは分からない、としている。この部分は問題だ。アスリートにとって、薬物疑惑は“選手生命”が掛かっている重要な問題だ。ましてや、世間的にも注目を集めていた試合での薬物疑惑で、相手選手は今回の敗退によって引退の可能性まで出てきている。もし赤沢氏の指摘することが本当なら、ただ単に謝罪するだけでは済まない。それに、いちばん不思議なのは、身に覚えのないことであるなら、間違いなく赤沢氏の“薬物告発”は「名誉棄損」に相当する。ほんとうなら、すぐにでも告訴すべき事案なのだ。それを「どうするかは今後話し合って検討する」と付いて来た弁護士さんが言っている。いま一つ歯切れが悪い。告発者の方は「潔白」記者会見を察知して、重ねての告発を行っている。それなのに“法に訴えるかどうか分からない”というあいまいな反応。その一方では“全否定”なのだ。アスリートの競技においては、これまでにもしばしば薬物疑惑がささやかれている。実際に“それ”が元で失格となった選手も多い。ただ近年のボディビル大会などでは明らかに“薬物”とは言えないのかもしれないが、異常なほどの筋肉増強剤が使用されている。今後ますます“ギリギリのもの”をカラダに取り入れて肉体を強化する人たちは出てくるのだろう。純粋に練習や体力や技術だけで勝負をする時代は、もう過ぎてしまったのかもしれない。さまざまな“科学”と“医薬”と“秘密の力”が、規格外の強さを発揮していく時代が、もうそこまで来ているのかもしれない。
2024-09-02
正直、この作家のことを深くは知らない。何となくざっとは知っているのだが、その程度だ。だから、もしかすると、わたしに“彼女のことを書く資格”はないかもしれない。それでも「グリオーマ」という希少癌である“悪性の脳腫瘍”に侵され2年間の闘病生活ののち56歳で亡くなった……と知って書いておきたいと思った。この作家は「エンジェルフライト」という作品で「開高健ノンフィクション賞」を受賞して世間に注目された。この作品はドラマ化もされた。エンジェルフライトとは「国際霊柩送還」という意味で、主に海外で亡くなった人を日本に輸送してくる仕事だ。ただ単に輸送するのではなく、通常の葬儀のように“死化粧”というものを施して、極力、生前の形を保って帰還してくる。そういう仕事があること自体、あまり広くは知られていない。そういうところに視点を当てて、そういう人たちの職場に泊まり込み取材を続けて描き上げたのが「エンジェルフライト」らしい。この作家は常にそういう感じで、世間的にはあまり知られていないけれども重要な“仕事師たち”をとことん追求して実録的に描く。そういう仕事をしてきた。「エンド・オブ・ライフ」では“訪問看護師”と“在宅医療専門の診療所”を取り上げた。一つには彼女自身の母親が、重い神経難病を患っていた…ということも背景としてあるからかもしれない。人は身近に在ることは追及しやすいからだ。基本的に在宅医療専門の診療所というのは、最終的に「みとり」を終えるまでが仕事で、そういう意味では国際霊柩送還とも、どこか繋がっている。そうやって、ずっと「生と死」に直結するような現場を取材し続けて来た作家に異変が起きたのは2022年の秋だ。自らにも悪性の脳腫瘍が見つかって闘病生活が始まる。ただ彼女は自分が罹った癌が「グリオーマ」という“希少がん”であることになぜか満足していた。日本語教師からフリーのライターを経て、やっと見つけた自らのライフワークともいうべき「生と死」を描くノンフィクション作家という地位を確立した。その矢先の闘病は“無念”であったはずなのに、それを感じさせるSNS発信は、少なくとも私の知った範囲では感じられない。或る意味では、その覚悟を見出すため「生と死」を書き続けてきたのかもしれない。
2024-09-01
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