基本的に大人よりも子供の方が“想像力”や“発想力”は豊かだ。人は大人になっていくにしたがって“常識”や“既成概念”を身に着けていくので、自由な発想がしにくくなるのだ。愛知県の一宮市は今年で「市政100周年」となる。それを記念して26年前、市内の子供たちに「2021年の一宮市の未来」について書いてもらった。そして市内の光明寺公園内に「タイムカプセル」として埋めた。今年「市政100周年」となって、市の担当者たちが、その埋められていたタイムカプセルを掘り起こし、中身を開封するという行事を行った。ところが、市の担当者は張り切っていたのだが、実際にそれを書いていた“当時の子供たち”が名乗り出てくれない。広報誌で呼び掛けたり、駅前商店街に尋ねたり、FMラジオで呼び掛けたりしても反応がないのだ。それでも、ようやく自分で書いたと名乗り出てくれた女性が一人だけ出てきた。当時小6で現在は38歳の武藤久美子さんだった。彼女は、カプセルに書き入れた内容の原稿(文集)そのものを保管していた。それによると、一宮市をもっと活性化するため2021年には、駅ビルの中にデパートだけでなく「図書館」や「病院」や「温泉」が入っているのではないか、と自らの願望も込めて予想していた。彼女自身は、現在の駅ビル内がどうなっているか、知らなかったというが、9年前に建て替えられていて、その5階には新たに「図書館」が加わっていたのだ。それも46万冊もの蔵書を誇る本格的な図書館になって居た。正直、私は一宮市がどういう街なのか知らないのだが、26年前の少女の「提言⁉」ともいうべき予想は、一部見事に的中していた。「病院」や「温泉」が入っていなかったところを見ると、あくまでも“偶然の的中”なのだろう。実は個人的な自分自身の「未来予測」でも、その一部だけが的中するというケースは多い。今回のオリンピックなどでも「金メダルを取る」と子供の頃に文集などに記して、それを実現させた人もいる。われわれの“未来予測”は邪念のない子供の頃の“予測”の方が実現させやすい。ただ「その全部が現実化する」とは限らず、多くの場合「その一部が実現化していく」。言葉でいうよりも文字として「一行で記せる未来」が現実化しやすい。潜在意識は、単純な未来の方が「形」として実現化しやすい仕組みに出来ているからだ。
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