世の中「信じがたいこと」というのは、ある。けれども、この調査をどう受け止めればよいのだろう。何しろ、“普通の人たち”や“犯罪者”の中から選んだ3000人ではなくて、或る意味では「聖なるエリート集団」ともいうべき、キリスト教内における「聖職者集団」の中から出て来た3000人という数値なのだ。もちろん、1950年以降の調査ということなので、70年間に及ぶ“永き間”での3000人で、いま現在の人数ではない。そうはいうものの日本人の感覚からすると“仰天の人数”であることは間違いがない。フランスの独立調査委員会という機関が2年半にわたって調べた教会や裁判所の記録、さまざまな“聴き取り”等の調査に基づくカトリック教会内での未成年者らに対する「性的虐待問題」に関与していた聖職者の人数である。なにしろ“聴き取り調査”が多かったのでそういうことになったのだろうが、2500頁にもわたる「報告書」である。その中で過去の3000人の聖職者たちが「性的虐待を行っていた」ことが詳細に暴かれているのだ。そして、その被害者の数は21万6000人と報告されている。驚くべき数である。こういうことは考えたくないが、もしかしたら、“そのこと”が目的で「聖職者」の道を択んだ者がいるのではないか、と疑いたくなるような数字である。確か「懺悔の部屋」は聖職者のためではなく、一般人のための部屋だったはずである。彼らは性的虐待を行った後で“悔い改め”の祈りを捧げていたのか。前にインドのヒンズー寺院で「集団レイプが行われていた」ことを記したことがあった。あの時にも「聖なる寺院」が汚されていたわけだが、このような数値を見せられると、海外の美しい教会で“聖なるフレスコ画”等を視ても感動できなくなる。イスラム教の「聖戦」として異教徒を徹底的に殺略するのも許せないが、キリスト教の教会で“無垢なる信徒たち”を虐待するのも許せない。「神」の名のもとに行われる行為を“十代の信徒たち”は拒絶できなかったはずだからだ。教会内で「性的虐待」にあった信徒たちは、それでも「神」を信じたのだろうか。それとも「神」を呪って生きていったのだろうか。
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