この人が“54年ぶりの主演”になるというのは感慨深い。つまり、それくらい前が、この人の“絶頂期”だったということになる。女優・加賀まりこ氏のことだ。今回、77歳にして主演を演じる。それも「占い師」役なのだ。ただの占い師ではない。中年となった自閉症児を抱えて、古民家を改造した場所で“占い”を行っている母親役なのだ。確かに、そういう風に言われれば、そういう風に視えないこともない。どこかに“昔華やかだった面影”を残している占い師女性はいる。実際に、自閉症児ではないが、障害児を抱えている占い師女性もいる。この映画作品が描こうとするのは“占い”の方ではないが、自閉症児を抱えて、その地域の“壁”を取り払おうと奮闘している女性を私は知っている。この映画「梅切らぬバカ」は今年の「上海国際映画祭」新人部門作品賞にノミネートされていて、そういう意味でも注目すべき映画と言える。それにしても、若き日の加賀まりこ氏の活躍については、私はそれほど鮮明に憶えているわけではない。まだ子供だったからだ。けれども、週刊誌の見出しに踊った「小悪魔・加賀まりこ」の文字と、妖しい半裸写真は強く記憶している。和製ブリジット・バルドーとして登場した彼女は、当時としては数少ないボディに自信ある“洋風の美女”だった。ところが、いつの間にか彼女は表舞台から消えたように見えた。そうして再び注目を集めた時には、TVのバラエティ番組で“気風のいい年上姉御”として人気を集めていた。ただ私には何となく、この人は黙っている方が魅力的だな、と思ったものだ。今度の占い師役では、どういう感じの「占い師」として登場するのだろう。がっかりしないために、視ない方が良いのかも…しれないのだが。
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