夏場は朝が早く来る。午前3時頃でもけっこう明るかったりする。実は姉妹は前の晩から計画を練っていた。どうすれば、両親に知られることなく「夏の冒険」が出来るか。そして「地下室から表に出れば良いんだ‼」と気付く。そうすれば両親が寝ている間に車でカリフォルニアのビーチに行って「イルカと一緒に遊ぶことが出来る」姉妹は大喜びして、早めにベッドに入った。そうして翌朝3時、実際に姉の方が起き出し、まだ眠いという妹を「約束でしょ」と強引に起こして、ふたりで地下室へと向かい、そこから音を忍ばせ、外まで出ることに成功した。もちろん、昨夜から車の鍵も用意していた。もちろん姉は初めての運転だったが、助手席の妹にもきちんとシートベルトをさせた。いつも母親がセダンを運転する順番をしっかり見つめて記憶していた。だから車が動き出した時「これで冒険が出来る」と確信したのだ。もちろん、どの道を進めば良いかは解かっている。意外なほどスムーズに車は目的の広い道へと辿り着いた。午前3時を択んだのは、万一おかしな運転をしても、他に車がいなければ、大きな事故にはならない、と思ったからだ。実際、対向車には合わなかった。ところが16キロほど走ったところで、小さなトラックが横道から出て来た。予期していないことだった。このまま減速すれば「ぶつからずに済むかな」と思ったが、あっという間にぶつかってしまった。こうして二人が乗ったセダンは立ち往生し、すぐトラックの運転手から警察に通報されてしまった。すぐ警察が駆け付けた時、ふたりは車の中でシートベルトをしたまま座っていた。誰にもケガはなかった。警官は“本当の運転手”を捜そうと試みたがいなかった。9歳の姉が運転して来たからだ。こうして姉妹の「夏の冒険」は途中まで成功しかかったが、残念ながら実現しなかった。
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