BS12で渥美清主演のTVドラマ『泣いてたまるか』が放映されている。私の記憶が確かなら、この番組が放映されていたのは今から40年以上も前で、当然というべきか、今回の再放送もカラーではなく白黒作品だ。それにもかかわらず好評で、最初は試験的に放映したらしいが、現在は月曜の夜にレギュラー化しているようだ。なぜ、こんな大昔の白黒作品が好評なのか。もちろん『男はつらいよ』の“寅さん”役で大人気だった渥美清が主演している番組というのもある。けれども、このドラマでは「寅さん」のように“八方破れの人情男”を演じているわけではない。どちらかといえば“情緒性豊かな良識派”の人物を演じている。つまり、最初から“ドタバタ喜劇”を意図した作品ではなくて、ユーモラスだが“しっとり心温まる”作品を意図していたようだ。その違いもあってか、実は最初に放映されていた当時は、それほど視聴率が良くなかった作品群なのだ。実は、この後でTVドラマとしての『男はつらいよ』シリーズが企画され、大ヒットし、それが映画へと転じていく。渥美清といえば、その眉頭上のホクロ(イボ?)が特徴だが、それは人相学的に“兄弟によって幸運を得る相”なので、正に“さくらの兄”としての「寅さん」だったから大ヒットしたのだ。そういう条件を備えていないのが『泣いてたまるか』である。おそらく、今の視聴者たちは、ただ単に渥美清だから見ているのではない。そこに“古き良き日本”を感じているから見ているのだ。何か高度成長の“あの時代”を感じさせる様々なモチーフが“なつかしさ”と“やさしさ”を運んでくるのだ。そう、もしかしたら“今の日本”には、あのころには存在した“純朴なやさしさ”に欠けているのかもしれない。
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