「福祉」というのは難しい。どうあがいても“平等性”を欠くからだ。世の中に本当の“平等”なんて存在しない。ところが、スイスで新たな社会福祉のあり方として「最低所得保障」の導入是非をめぐって国民投票が行われるらしい。実はスイスだけでなく、欧州各国でひそかに導入が検討されているのが、この福祉制度なのだ。どういうものかというと、すべての住民に対して無条件で毎月“一定額を平等に与えよう”という制度だ。大人も、子供も、本国人も、外国人も、暮らしていくのに必要な金額は与えておこうという“太っ腹政策”である。日本の場合「生活保護」という福祉制度があるが、これは“さまざまな条件”をクリアしないと貰えない。この条件がかなり厳しい。以前、条件をクリアできなくて餓死してしまった人達もいた。これでは“平等”とは言えない。時々、不正な申告で受給する人がいるのでどうしても厳しくなるのかもしれないが、その辺は何となく“雰囲気”で分かりそうなものである。日本の福祉制度は総じて、控えめな人たちに厳しく、要求の激しい人たちに甘い傾向がみられる。もっと“平等意識”の強い人を担当者や審査官にすべきなのだ。そこへいくと、スイスが導入しようとしている方式は、すべての住民に無条件に与えるものなので、平等という点に関しては見事にクリアしている。それも実現するかは疑問だが、大人は毎月日本円で27万円という高額である。税収が多いスイスだから巻き起こってくる議論で、日本でこんなことを主張したらバカにされそうだが、実はスイスでも政党の多くは否定的だ。その理由は“労働意欲”をそぎ、“生産性の低下”を招く恐れがあるからだ。ただ、フィンランドやオランダなど欧州各国も、この制度の検討を始めていることは確かで、日本でも“本気で主張できる雰囲気”が出てきてほしいものだ。
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