「バベルの塔」の物語はちょっとややこしい。元々信仰心が強く忠実だった人間が、徐々に“不遜な考え”を抱くようになり「天まで届く塔を建てよう!」ともくろむ。これを“天上界”に棲む神は“人間の不遜な思い上がり”だと捉えた。そこで「バベルの塔」がもう少しで“天まで届く”ところに達したときを見計らって、神の怒りで壊してしまったというのだ。そのあと、ついでに民衆たちの“一致していた言語”まで別々にして、同じ人間たちでも“簡単に意思疎通ができない”よう変えてしまったというのだ。この『旧約聖書』に記された物語の背景にあるのは、バビロンに実在したジッグラト(神の塔)だといわれる。今、世界は確実に、この物語のような方向へと秘かに進んでいる。それぞれの国民が、自国の言語、肌の色、宗教しか認めず、世界中が“手を繋ごうとする”枠組みがしだいに壊れつつある。その極端な例がアメリカにある。白人と黒人の対立が激化しているのだ。昨日も警察官5名が銃撃された。銃社会のアメリカは、一般人が警官を撃ち殺す。元々は無実の黒人青年が警官に撃たれたところから始まっている。まるで南北戦争時代に“逆戻り”したかのようである。火に油を注いでいるのが大統領候補の発言である。メキシコとの国境に壁を作る、イスラム教徒はアメリカに入れない、環太平洋条約など認めない。イギリスもEUから離れる。台湾も中国から離れる。もはや“言葉の通じない人”、“肌の色が違う人”、“宗教が違う人”とは、仲良くしない様にと「御触れ」が出ているかのようですらある。実際、経済が絶頂だった時、ニューヨークの“塔のような建物”はテロ攻撃に遭った。あれから15年以上が経ったが、ますます人間同士の連帯感は失われ、どの「神」が正しいのか解らなくなっている。
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