長い人生の中で、だれしも一度は自らが「重い扉」を開かねばならない年があるものです。ほかの誰でもなく、自分自身で「重い扉」を開かなければならない状態の時があるものです。誰もが躊躇し、逃げ出したい気持ちも入り交じりながら、その「重い扉」を開いてゆかなければ、前へとは進んでいけないことを“本能的に自覚している”時があるものです。日頃、神仏など信じないような人でも、そういうときには無意識に両手を合わせてしまうような“真摯な想い”が宿るものです。“合掌”というのは元々本能的な行為で、教えられなくても“真摯な想い”から運命に立ち向かうとき、人は自然とそういう意識になるものです。つまり、人はそれが“運命的な時”であるかどうか、或いは“運命的な状態”であるかどうか、本能的に“知る”ようにできているのです。人間の“潜在意識”は、自分の置かれた環境下で“少し先の未来の映像”をぼんやりと把握しているので、目の前に出現した「重い扉」が、他の人たちが開いてくれる“日常的な扉”か、人生に何度も出現しない“自分自身が開かなければならない扉”か、ちゃんと解るようにできているのです。「重い扉」の向こうには“新しい自分”が待っていることも、本能的に解っています。ただ“運命の扉”を開くためには、少しの勇気と“真摯な想い”が必要なのです。どんなに“逃げ出したくて”も、いつの間にか「重い扉」は眼前に迫っていて、容赦なく迫っていて、泣きながらでも開かなければならないものです。そういう時、人は背後に後ずさり出来ない“強い力”を感じて、前へと“突き出される”ように進み始めるのです。人間が「運命」という“どうしようもない巨大な力”に翻弄されながら生きていることを、改めて自覚するのは“そういう年”なのです。
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