「汝自身を知れ」という言葉があるが、まさに“自分の素質・能力”を客観的に知っていること、そして“自分の運命”の質や型を把握していることは“より良い人生”を歩むための最大の武器と言える。“自分の素質・能力”については、誰でも何となくは知っている。大体三十代後半くらいになれば、客観的と言えるかどうかはともかく、何となくは把握している。けれども、自分が持っている“運命の質や型”に関して把握している人はまことに少ない。客観的に測る手立てがないからだ。ところが「人生の達人」と言えるような人は、この自分に与えられた“運命の質や型”を実によく知っている。別に“占い”で把握したわけではない。何となくの勘から、或いは人生上の経験から、自分に与えられた“質”や“型”を感じ取っている。だから、その“質”や“型”に逆らわないので、大きな失敗をすることがない。その典型を「ニトリ」の創業者・似鳥昭雄氏に見る。彼には学歴も家柄もない。諸事情から仕方なく旭川で始めたのが“小汚い家具屋”なのだ。どうすれば売れるかを考え、“本店”なのに“支店”としてスタートした。支店であれば、小さくて当たり前となる。今すぐ商品がなくてOKとなる。ミスがあっても、支店なもので…で笑って許される。学歴はなかったが、商才はあった。彼はこの時期に、庶民は“小汚い家具屋”からでも“安ければ買う”と掴んだ。そして、そういう“売り方”が自分に与えられた「天命」と悟ったに違いない。その後一貫して、庶民のために“お値段以上”を心掛けた。この身の丈に合った“生き方”が、今日の「ニトリ」を作った。名称も大昔と変わらず「ニトリ」のままである。だから、誰でも読める。すぐ分かる。どんなお年寄りでも、子供でも“家具屋さん”だと知っている。現在は“ホーム雑貨”が売り上げの半分になった。そして今、創業者はアパレル業界に進出しようとしている。多分、デザイン性は全くないが、“お値段以上”の自宅でくつろぐための服を主体に売ることだろう。大塚家具がニトリをまねて失敗するのは当然である。エリートとして育った“かぐや姫”社長は、庶民を相手に商売をしてはならないのだ。高くても良いものを買う“お嬢様たち”に“お姫様家具”を販売しなければ倒産してしまう。人は身の丈に合った“生き方”で成功するよう出来ているのだ。
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