お腹がすいたから“人肉でも食べましょうか”と、普通はならない。お腹がすいても“人肉だけはちょっと…”が普通の家庭だ。ところが、そうではなかった人々がいる。古代人にもいるし、一部現代人にもいる。何んと恐ろしや。それで古代人の方は、これまで“純粋に食べたくて”食べていたんじゃないの、と思われていた。栄養があるから食べていたんじゃないの、と思われていた。ところが、どうも、違うらしい。栄養はあまりないらしいのだ。他の動物に比べて“美味しい脂肪分”が少ないらしい。だから、少なくとも“美味しくて食べていた”のではないらしい、という研究がこのほど提出された。それでは“何のため”なのか、そこが問題だ。比較的現代人に近い古代の人々は、よく人肉を食べた。洞窟などに、その証拠が残っている。いや、文字記録にも、それがある。古代エジプトのヒエログリフ(聖刻文字)による“葬祭呪術文書”の中に出て来る。それは国王が高齢となって体力が衰えた時、新たな若い王を誕生させる。その“新たなる王”の誕生儀式の中に、何んと“老いたる王”を撲殺して、その人肉を食する儀式が含まれているのだ。そうすることによって“前王の筋力や能力”が、新たなる王に付与されると信じたのだ。その種の“呪術儀礼”は、世界各地にあった。ドイルド教には、戦った敵の頭蓋骨を杯として、その人肉から流れた“血を呑む儀式”まである。そういった呪術的な信仰と絡んで「人肉」は食されてきたのだ。敵の「血」はともかく、前王とか親とか祖父とかの血肉を食することによって“一体化”しようとする行為は、神聖なものというよりも、或る種“けなげな行為”にも感じられるのは、私だけなのであろうか。
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