手相には「生命線」と呼ばれる線がある。そう呼ばれているだけで、本当にその線が「死」と直結しているのか、誰も知らない。ただ百歳以上の長寿の方々に、生命線がクッキリ長く大きく弧を描いている方が多いことは事実だ。けれども、その一方で生命線がっクッキリ描かれていても、30代や40代で亡くなってしまう方がいるのも事実だ。これを、どう考えれば良いのか、何故か手相家たちは沈黙する。私が興味深いのは、生命線を途中で障害線が強く横切っている場合、ほとんどの場合“死ぬような危険”を体験する。それは病気の場合もあれば、事故の場合もあれば、時に自殺とか殺害など特殊な場合もある。実際に、その時点で亡くなられてしまうこともあるが、運良く生き延びることもある。この“生き延びた”場合に、その後の生命線は、まるで“死ぬような時期”を忘れたかのように普通の生命線になる、ということである。つまり、決して、その後だから“ギリギリ生きていく”のではなく、多くの場合は“普通に健康体”として生きていく。それはまるで人間の物語の中で“生”と“死”というものが、そんなに特別なことではなくて、ごく“自然な通過点”にすぎないことを、教えようとしているかのようである。アメリカのカリフォルニア州では、昨年「終末選択肢法」と呼ぶ法律が可決された。不治の病を持つ方が、自分の意志で“死に至る薬物”を医師に請求できる権利だ。そして半年が経った。その結果、実際にその権利を利用した人が191人、そして自ら服用し、死に至った人が111人いたのだそうだ。ということは、残り80人は“いつでも死ねる”状態ではあるが、もう少しだけ“生きてみよう”としているに違いない。日本人はとかく“生命の尊厳”ということを切り札として、意図的な“死”を認めまいとする。ただ“いつでも死ねる”という想いが、生きることを楽にして、有意義な日々を過ごさせるかもしれないことに、気付くべきではないだろうか。
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