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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


懐かしい「逃亡者」の正義感


人は根本的に“あまり変わらない”ものである。私がアメリカのTVドラマ「逃亡者」の日本語放映を最初に見たのは今から50年ほども前のことだ。このTVドラマは全米で爆発的にヒットし、それが日本でも放映され同じように高視聴率を得た。私がまだ中学生の頃の作品である。50年後の現在BS「クラシック」チャンネルで再放映している。懐かしいタイトルだったので、私は最初、現代風にアレンジした作品なのかと思って録画したのだ。けれども、そうではなく、考えてみれば「クラシック」というチャンネルなのだから当然なのだが、50年以上も前の作品をそのまま白黒で放映していた。ところが、懐かしさから見たのだが、やはり「逃亡者」は魅力的だった。このドラマは元々が実話に基づいていて、医師が自宅で妻と口論して外出し、戻ってみると惨殺されていて、その帰り掛けに飛び出して来た“片腕の男”が犯人だと確信する。けれども、何ら証拠がない。警察は口論したのち外出していた夫である医師を犯人と断定した。裁判でも終身刑となった。その護送の途中で列車事故が起こり、終身刑を言い渡されていた医師・キンブルは逃亡する。無実のキンブルは、逃亡しながら真犯人である“片腕の男”の正体を突き止め、最終的には“晴れて無実”となるのだが、その逃亡中は“殺人犯”の医師であることを隠して働き、発覚しそうになると、その街を離れて身を隠す。このドラマが全米だけでなく日本でも高視聴率を得たのは、何よりも“無実の罪”を着せられた人間のドキドキの逃亡劇と、医師である主人公の“正義感”が、苦しんでいる患者や病者を見捨てることなく、ギリギリのところで“名医”としての腕を発揮し、救いながら逃げていくところにある。つまり、こんなにも優しくヒューマニズムに富んだ医師でも、殺人犯に仕立て上げられてしまう「運命の不条理」が多くの人を惹きつけてやまなかったのだ。しかも、それを演じたデビッド・ジャンセンの名演技も光っていた。後になって、名優ハリソン・フォードによって「逃亡者」が映画化されたが、やはり、デビッド・ジャンセンの持つ逃亡者としての“悲壮感”や“虚無感”、そして何よりも医師としての“ヒューマニズム”を演じることは出来なかった。「逃亡者」を知らない若い世代の人たちで「運命の本質」そして「生きるとは何か」を知りたがっている人たちには、ぜひ見てほしいドラマだ。

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