シリア民主軍が昨日、過激派組織IS(イスラム国)が「首都」と位置付けるシリア北部ラッカ全域の制圧に成功した。このところISには以前の勢いがなく、主要モスクも奪われ、首都も失ったことで、事実上の崩壊となった。但し、最高指導者バグダディ容疑者の存在が突き止められていないので、完全崩壊とまでは言いかねる。ISがイラクのモスクを占拠して「イスラム国家」を一方的に宣言したのは2014年6月のことだった。あれから3年余り、シリアとイラクの両国をまたぐ形でアメーバー的に拡大した「イスラム国」だったが、世界を敵に回してアメリカやロシアまで加勢したから、とても勝ち目はなく、陥落は時間の問題と見られていた。ただ一時的ではあるにせよ、ISがインターネット動画を使って世界に見せつけた「処刑場面」は余りに過激で“恐怖を植え付ける”に十分だった。日本人も何人か犠牲になった。日本人は「宗教」というと、どうしても“敬虔な祈り”のようなものを思い浮かべやすい。けれども、イスラム原理主義に基づく宗教は、感覚的には「宗教(団体)」ではなく「思想(団体)」なのだ。だから過激なのである。彼らの神様は「敵」を許さない。寛容さなどこれっぽっちもない。彼らの神様は「敵の神様」を許さない。同時に、それを信じる「人間」も許さない。何しろ、一日に5回も礼拝させる神なのだ。まるで人間を“奴隷”のようにこき使う。それでも信者たちは、神に従う。う~ん、困ったもんだ。「敵を殺す」と“天国に行って可愛がってもらえる”と本気で信じているのだ。どこの「組長」なんだ。ところで「イスラム国」が崩壊すれば、ラッカに平和が戻るのだろうか。残念ならが、ことはそれほど簡単ではない。それに、ISのメンバーが世界各地に飛んでいる。「国」は滅んでも、その思想はリビア、エジプト、アフガニスタン、フィリピンと広がっている。訓練されている純粋な子供たち(?)が沢山いたではないか。いつ、再び、アメーバーのように新たな「国家」が樹立されるか誰にもわからない。
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