人が話す“言葉の内容”には「年齢」が出る。無意識にその人の“精神年齢”のようなものが出る。そういう意味で「僕らも10年前は挑戦者だった」という言葉、或いは「われわれも頑張る、まだ挑戦者だ」という言葉、これらは大変に若々しく、そしてどこかすがすがしい。人間としての“おごり”がない。これらは昨日の記者会見で述べたソフトバンク・孫正義氏の言葉だ。楽天が“携帯電話事業”に参入することになっての感想を訊かれて出てきた言葉だ。実際、その通りだった。孫氏の“携帯電話事業”は、たかだか10年前に始まった事業にすぎないのだ。10年前は“挑戦者”の方に居たのだ。ところが、今は誰も“挑戦者”等とは思わない。なぜか最初から“三強の一角”を形成していたかのような錯覚を持っている。そのくらい完全に浸透してしまった。考えてみると奇妙である。孫氏の事業というのは、基本的にみんなそうである。最初は、誰もが“違和感”を抱く。拒絶反応が起こることを承知でスタートさせていく。ところが、その“違和感”がいつの間にか消えていく。考えてみればCMの“犬が父親”等という発想も、冷静に考えれば、とてつもなくおかしいし、受け入れがたい。ところが何度も何度も見せられているうちに、いつの間にか“違和感”は残っているのに、いつの間にか“拒絶感”は消えている。むしろ「父親って、犬のような存在なのかもしれないな」と受け入れている自分がいる。発想の転換が、いつの間にか行われているのだ。或る種、誰をも“洗脳させていく力”を持っていると言えるだろう。現在、アメリカで買収した電話会社が“今一つ”の状態であるが、おそらく孫氏は焦っていない。なぜなら、日本でも、昔はそうだったからだ。孫氏は何度か「携帯事業参入は失敗か」とマスコミに報じられた。会社自体が、巨額の負債で「倒産する」と報じられたことも一度や二度ではない。そのたび“不死鳥”のように蘇えってきた。しかも、通常はそういう時に“事業縮小”等を行って乗り切るものだが、孫氏の場合はそうではない。逆に、より大きくして乗り切っていく。万一、いまソフトバンクが経営破たんしたなら日本全体に次々と連鎖倒産が起こる。いや、日本だけではない。サウジアラビアやアメリカなど多数の国がファンドで一体化している。世界の経済に影響が出るのだ。その彼が「今までのソフトバンクはこれからのソフトバンクの助走にすぎない」と断言した。果たして、彼の“野望”は、どういうところへと突き進んでいくのか、私は見れないが“30年後”辺りが楽しみである。
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