忍者に「甲賀流」と「伊賀流」の“流れ”があることくらいは誰でも知っている。ただ私は未だに大学の片隅に「忍者部」等というのがあって、全国各地に“忍術研究家”という人々がいることに驚く。今回、弘前市立図書館から甲賀流の忍術集団が遺した「早道之者」という忍術書原本を京都の忍術研究家・上田哲也氏が発見、その信ぴょう性を青森大の清川繁人教授が鑑定・保証した。その中身は、当然のことながら、忍者としての“心得”や“術法”が色々述べられているのだが、正直、私をがっかりさせたのは12ページの書物だったことである。確かに300年近い昔の本なので、12頁なのは仕方がないのかもしれないのだが、せめて50頁前後くらいはあってほしかった。もちろん、その中には寝る時には必ず、部屋の前の畳を挙げて、いざという時に備えろという風な“実践型(?)”の貴重な内容なのだが、文字通り“内容が薄い”。実は、占いの書物も、大昔のものは総じて薄っぺらい。江戸時代に書かれた書物で100頁を超える書物は滅多にない。しかも“和綴じ本”であり、世界に一冊の“肉筆書”である場合も多く、1ページ当たりの文字数としては多くない。昔の“ひらがな”で記されている場合が多く、大変に判読し難い。それでも、貴重な本の場合には、古書店に大金を支払って購入することもある。占い関係の“和綴じ本”は総じて高い。20頁や30頁の本でも何万円もしたりする。さすがにマニアックな私でも、購入をためらう金額なのだ。それで中身が“秘伝的な内容”とか“貴重な実占記録”であれば文句はないが、誰でも知っている初歩的なことしか書かれていないことも多い。良書探しというのは、そういう点で“忍びの者”を探し当てるよりも難しい。日本では“中国の古典原書”をありがたがる人が多いが、中国の古典は一人の研究書ではない。ほとんどの場合、さまざまな学説の寄せ集めを“つぎはぎした書物”である。それを個人の著書であるかのように読み進めていくと、矛盾していて何が何だか分からなくなる。それなのに、解かったような顔をして解説しているのが多くの日本の研究者なのだ。
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