近年、徐々に浸透しつつある思想の一つに「ヘイトクライム」と呼ばれるものがある。これは特定の“属性”を持つ人々や集団に対して“偏見”や“増悪”を抱いて、それが犯罪行為にまでエスカレートしていくような場合を指す言葉らしい。もしかしたら、その最適の事例となりそうなのが2月9日に20歳の医大生が“殺人容疑”で逮捕された事件だ。彼は昨年12月18日、大東区のホテルに1人の“派遣型風俗嬢”を呼び出した。指名されたのはタイ人女性のセーンネ・バニダさん(18歳)。ところが、医大生・四十宮直樹(よそみやなおき)は彼女に対し、購入してきたばかりの金属棒トルクレンチで思い切り叩き始めた。その結果、彼女は絶命したのだ。当然、その途中で彼女は逃れようとした。大きな声を出した。その異変に気付いた従業員が部屋に上って来たので、容疑者は5階の窓から外へと飛び降りたのだ。もちろん彼自身も大怪我をして、救急搬送された。重症だったが命に別状はなく、回復を待って2月9日に逮捕されたという事件だ。彼は殺す意識はなかったが“叩き過ぎて”結果的に亡くなってしまったと供述している。つまり、最初から“暴行目的”で呼び出していたことになる。なぜ“暴行目的”だったのかと言えば、アジア人女性が日本に来て風俗店に勤め、高額報酬を得ていることが許せないという意識があったからだ。もしかしたら、違法就労ではないか、という思いが加わっていたのかもしれない。それにしても、あまりに短絡的で幼稚な発想である。まず“日本人女性”なら許せても“アジア人女性”なら許せない、という考えがよく解からないが、これこそがまさに「ヘイトクライム」なのだろうか。アジア人女性を“下層階級の女性達”とでも見ている部分があるのかもしれない。或いは、本当は女性そのものが風俗によって“高額収入”を得ることを許せないのかもしれないが、日本女性に手出しをしたらすぐ捕まるが、外国女性なら逃げ通せるとでも思ったのか。もしかすると、もっと簡単に殺せて、もっと簡単に、逃げ切れると思ったのか。本人は「殺意はなかった」と言っているが、それなら何故ホテルに行く直前に“凶器”を購入したりしたのか。もし思想的に思うところがあるのなら、直接、言葉で指摘すれば良いことではないか。或いは、暴行だけは加えたいというのなら、素手で殴れば良い。“凶器”を購入してきた時点でアウトなのだ。そして何よりもアウトなのは、医大生でありながら、一人の女性を暴行したくらいで“世間の観方が変わる”とでも思ったらしい行動の仕方にある。しかも、その単純さで、自らの一生だけでなく、被害所女性やその家族、さらには自分の家族をも巻き込んで十字架を背負わせたことである。
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