私は3~4歳の頃「将来、何になりたいの?」と問われて即「天皇陛下になりたい」と応えて母を困らせていたらしい。私自身にその記憶はないが、今考えると妙に気恥ずかしい。それでも十代になると「占い師」に変わった。それは英国の手相家・キロに憧れたからである。おそらく当時の私にはキロが“スター”のように格好良く見えたのに違いない。人は誰でも、幼少期の頃、そして青春期の頃、その育った環境とか時代とかに触発されて、誰かに憧れを抱く。そのまま“その世界”に進んでいく人もいれば、そうでない人もいる。比率的に多いのは、自分の両親の仕事や商売から影響を受けるケースだ。元々血が繋がっているのだから、似たような仕事に進めば適応していける可能性も高い。そういう意味では、私の父親は“和菓子職人”で店舗もいくつかあったが、商売に失敗して北海道に流れてきた。そういう中で生まれた私は“日雇い土方”の父親しか見たことがない。父親の職業に興味を示さないのは当然だった。一度だけ聞いた話によれば、私の父親の祖父は「易」や「家相」を行っていた人物であるという。おそらく趣味の領域だったと思うのだが、父親によれば「それで財産を食いつぶした」と恨んでいた。だから、私が十代で占いにのめり込んだとき、もっとも反対したのは父親だった。それは後から聞いた話で、それも詳しいことは解からない。「血は水よりも濃い」というが、自分の“出生”を知ることが良いとばかりとは限らない。昨日、オランダの医師が、不妊治療の際に、その女性達には無断で体外受精の際に“自分の精子”を混入していたことが発覚した。しかも1名や2名ではなく、49名もの“体外受精”に自分の精子を混入したというのだ。何人かの母親側が裁判を起こし、DNA検査の結果、その医師のDNAであることが確認されたという。ところが、その医師は89歳で既に亡くなっていて、病院も2年前に閉鎖している。したがって、詳しい経緯や動機がよく解かっていないのだ。生前の証言によると、1980年代に行われたケースが多いという。そうだとすれば、それによって生まれてきた子供達は、もはや30代後半の人物が多いに違いない。実はかなり以前から、そういう“噂”は出回っていたらしい。何しろ、成長するにつれて父親に“似て来る子”がいたからだ。欧米人の場合、髪の色、眼の色、肌の色など、同じ国民でも微妙に異なる。日本人のように、みんな同系色なら、それほど違いは目立たないが、明らかに髪の色や眼の色が両親と異なっていれば、おかしいと思うのは当然なのだ。違和感を感じながらも、医師となった男性がいたなら、彼は自分の父親を「忘れたい」と思うのだろうか、それとも「ありがとう」と思うのだろうか。
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