それはベネチアにあるヴェネスト州議会の会議室において、気候変動対策を考慮した条令修正案を否決した直後に起こった。会議室が高潮によって浸水してしまったのだ。まるで「否決は誤りである」と自然界が警告しているような浸水の仕方だった。かつて「水の都」として世界中から羨望を集めて来たベネチアだが、このところ高潮による被害が年々深刻さを増しつつある。たまたま今年だけが水位が高くなっているのではない。元々人工的に作られた街で、風光明媚で観光には良いのだが、地元住民にとって暮らしやすい街ではなかった。何しろ、いたるところが橋でつながっているので車では移動できない。しかも、その橋は平たんではない部分が多く、情緒はあるが実用的ではない。ここは“町全体”が世界遺産なので勝手に変えられない。建物などの修復は出来ても、根本的な改革は出来ないのだ。つまり、いつまでも“昔のまま”でいなければならない。今回の“修正案”は、それをもう少し緩めようということで地元側から提出されたものだ。ところが、ベネチア以外に暮らす議員やイタリア政府が強力に反対して否決された。その代りに高潮被害のための支援金2千万ユーロ(24億円)を出すというのだ。ところが気候変動の影響でもはや建物の土台そのものが塩害で怪しくなってきている。12日には高潮で187㎝を記録した。これは過去50年にわたって観測した中での最高記録なのだ。観光客もみな水浸しとなって「非常事態」まで宣言された。今はまだ“稀な出来事”だから観光客も許してくれる。けれども、これが日常になったら、もはや観光客どころではなく、地元民自身が暮らしていくことが出来ない。それでも、観光都市優先の考え方、世界遺産としての維持を保つため、根本対策に踏み込もうとはしない。こうして「水の都」は徐々に水没していく。イタリア政府や極右政党が“昔のまま”にこだわり続けても、自然界は容赦しない。おそらく、一番先に逃げ出すのは“観光業”以外の地元民である。居住区として考えた場合、ここはべらぼうに不動産価格が高い。欧州の人達は“古いもの”や“風光明媚なもの”に価値を置くので不便でも高いのだ。それでも20年後、30年後、ベネチアは「水没する街」として老人たちに懐かしまれることだろう。
北九州市内のマクドナルド店舗内で12月14日、平原政徳容疑者(無職43歳)が無面識の二人の男女中学生を刃物で殺傷した。防犯カメラ映像などの追跡から平早容疑者が浮上し、19日になって 続きを読む
ときどき「良い悪い」とか「正しい正しくない」とか……そういうこととは別の「人間として…」考えてしまうような問題が発生する。多くの人が関心を寄せ、同時に心を曇らせるニュースが入った。 続きを読む
謎の飛行物体が、米ニュージャージー州を飛び交っている。11月中旬以降に頻繁に目撃されるようになった。確かに映像を見てみると、明らかな飛行物体で、その点は間違いがない。問題は“どうい 続きを読む
世界的な自動車メーカー「ホンダ」と「日産」が経営統合のための協議を始めた…との報道が出ている。これに将来的には、日産とかかわりの深い「三菱自動車」が加わって“三社統合”となっていく 続きを読む
人間には大きく分けて“二種類の人間”がいる。自分の“過去に執着するタイプ”と、過去にどんな出来事があっても、それはもう過去のこととして“執着しないタイプ”だ。そうして、どちらかと言 続きを読む
資生堂、コーセー、花王、ポーラ……と言えば、日本を代表する化粧品メーカーだ。これら企業は、中国をはじめとするアジア各国への輸出量が多く、広く“そのブランド名”が知れ渡っている。先進 続きを読む
人はときどき人生の途上で立ち止まる。「この道だけが自分の道なのか」と、立ち止まる。多くの人は、一時的に立ち止まるのだが……そのまま進んでいく。少数の人だけが、立ち止まった後「もう一 続きを読む
誰もが、解かったような解からない雰囲気で、このニュースを伝えている。アメリカ次期大統領のトランプ氏が日本の「安倍昭恵氏」を15日、彼の邸宅である「マール・ア・ラーゴ」の夕食会へと招 続きを読む
日本は“治安の良い国”として世界中から知られている。それは事実だ。けれども、失くした財布が3年後になって戻ったからと言って、すべての人が“心優しい人たち”などと誤解をしてもらっては 続きを読む
人の運命は、わからない。アメリカのデトロイトの養護施設で15歳の時に出産した少女は、やがて、その25年後にアフリカのガーナの都市タマレにおいて、14世紀に建国された「ダグボン王国」 続きを読む