現代の芸術・芸能の世界は、その舞台を“片田舎”から…あっという間に“世界”に変える。けれども、そこには“影の仕掛人”が存在しているケースも多い。今や日本を飛び出し、そういう形で世界に羽ばたきつつある人物も多い。その中に一人に新世代アーティスト・小松美羽氏がいる。元々は版画家だった人物で、その頃は正直そんなに評価されていなかった。作品があまりにも“猟奇的”な印象を与えるものだったからだ。けれども、2014年5月に出雲大社に絵画「新・風土記」を奉納した辺りから、彼女の人生は大きく変貌する。翌年には大英博物館に「天地の守護獣」と名付けた狛犬が永久所蔵され、ニューヨークの美術館からも依頼が来たり、世界的オークションに作品が出品され高額で落札されたりするようになる。現在は台湾のホワイトストーン・ギャラリーで作品展示が行われる一方、見物人の見守る中で巨大なキャンバスにパフォーマンス的な形でライブ制作も行う。今や世界的アーティストなのだ。彼女の作品を見ると、確かに迫力はある。音楽で言えばロックの世界だ。ただ正直なところ、私には近年の彼女の作品には「チーム風土」が感じられるのだ。どういうことかというと、彼女が有名になっていったのは“肩入れするスポンサー企業”が出て来たからだが、それ以降、彼女は単独で仕事をすることは無くなって「チーム風土」に所属するアーティストとして動くことになった。確かに、描くのは彼女なのだが、そのパフォーマンスなどはどう見ても“チーム”の臭いを感じてしまう。真っ白な衣裳を身にまとって舞台に立つのだが、激しいパフォーマンスの中で衣裳は絵の具で汚れていき、終わった頃には衣裳だけでなく、床や顔や髪にまで絵の具が飛び散っている。けれどもそれを気に掛ける風もなく、正座して深々頭を下げ絵画は完成する。描くものが“神獣の世界”で、龍や麒麟や狛犬だから“神事”のような所作をするのは理解できるが、果たして最初からそうだったのか。何かしら“演出の臭い”を感じてしまうのだ。ただ現代という時代が世界的に「神獣」を希求していることは事実で、そういう意味では文字通り世界で「美羽」として羽ばたくことだろう。
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