あなたは「ジョセル王」を知っているだろうか。多分、知らないだろう。歴史的にはそれほど有名な王というわけでもない。けれども、エジプトにおいて最初のピラミッドを建設したのは、まぎれもなくこのジョセル王からだった。今から4700年位前の王である。この王はその彫像も残っているが、それよりもピラミッドの中にあるレリーフで王自身が儀式を行っている姿の方が有名である。儀式と言っても、横向きに走っている雄姿だ。実は、これが出来ないと、もはや王としての「体力が尽きた」とみなされて、立ち合いの家臣たちから撲殺されてしまう。まさに“命がけの儀式”だったのだ。そういう風に聞くと、ただ単なる“横向きの走り姿”と思って見れなくなる。しかも、王墓を兼ねていた(?)ピラミッド内部に描かれているのだ。ところが、2006年からはその内部が“修復作業”のために閉鎖されていた。このピラミッドでは王墓として唯一レンガも使用されているので、元々崩れやすいのだ。そこで補強材も加えて、内部見学が可能なように修復された。その費用は7億円以上で、14年もの歳月を要した。私が行った時にも、この「階段ピラミッド」は修復作業中で、中まで降りていくことは出来なかった。もっとも、このピラミッドが最初から「ピラミッド」を志向していたのかには疑問が残されている。明らかに、前から存在していた墓を改造して階段状に石を積み上げたもので、真四角でもない。それでも、やや高台にあるせいか、現在までその遺構が残されてきた。その後の王たちは、このピラミッドにヒントを得て四角錐のピラミッド建設を目指した。ただその規模から言っても、その技術から言っても、古代エジプトのピラミッドは4700年前から4400年前くらいまで、つまり第三王朝~第四王朝にかけてがピークであって、第五王朝以降のピラミッドは極端に“縮小化”される。さらに、その石積み方法も良くなかったので、あっという間に崩れ去ってしまった。なぜか第三王朝~第四王朝の間だけが「巨大ピラミッドの時代」となっているのだ。ちなみにこの「階段ピラミッド」は6段組みで63mくらいの高さだ。クフ王の147mの高さに比べると見劣りするが、それでも4700年前と考えると途方もない高さである。きっと彼らは、もう少し高くすれば「星に手が届く」と思っていたのに違いない。
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